フランチャイズ店舗などを中心に導入が進んだ
企業側の導入ハードルという観点では、面白いことに「LINEバイト」の導入はフランチャイズの店長やスモールビジネスから進んでいったという。というのも、企業が大きくなればなるほど、既存の採用体制・システムが組まれている。また、数百の店舗を持つ企業の場合は、店舗ごとにアカウントを用意して運用する必要がある。そのため、LINEを新たに取り扱うことに二の足を踏んでしまうのだ。
現在、サービスサイドの仕組みが整ってきているため、大手系の企業が利用を開始した段階だという。「多くの採用担当者が、頭の中ではLINE活用に魅力を感じています。成功事例が増えているので、今後は事例の共有で背中を押してあげられれば」と上土氏は意欲を見せる。
「LINEバイト」でやりたいことはたくさんある
労働人口のうちバイトやパートは1,350万人。LINEユーザー数を考慮し、サービス開始時には1000万人を利用者にすることを目標にスタートした。現時点で登録者は730万人と順調に使用者を増やしている。
だが、一回の利用では意味がないと上土氏。一度利用したユーザーとの関係密度を高め、「また使いたい」と思えるようサービスを展開することが重要だという。
「LINEでバイトを探す行為自体がまだ主流ではない。利便性を伝えると共に“「LINEバイト」を使うと良いことがある”という体験とセットでブランドを認知してもらい、リピートしてもらえるようにしたいですね」(上土氏)
「やりたいことがたくさんある」と繰り返す上土氏。取り組みを開始しているものの1つが潜在層へのアプローチだ。先述の通り、現在のバイト探しは利用者が能動的に検索して初めて成立する。それをLINEのプッシュ通知を活用し、各人が快適だと感じるスパンで提供することで、バイト探しをしていないタイミングでも有益な情報を提供し始めているという。
また、LINEというコミュニケーションツールを活かせば、企業側が一般的に採用条件を突きつけるだけの現在のスタイルから、より柔軟な採用をできるようになるかもしれない。「今は人手が不足している時代。 被雇用側の要望に応えられることが求められていると思います」と上土氏。
「LINEバイト」がこれからどのような展開を見せるのか、引き続き注目していきたい。