どうやってユーザー行動を把握するの?
ユーザー行動分析を把握するには様々な手法がありますが、今回はWEBサイトやスマートフォンアプリで私がよく使っている手法の一部を紹介します。イメージしやすいように架空のお悩みを解決する、という体裁で考えてみましょう。
お悩みその1【キャンペーンページの訪問者数は伸びたが、応募数が伸びない】
PVやセッションを稼げても、肝心のCVにつながらない。そんな悩みの場合、ヒートマップツールなどを使って「キャンペーンページがどこまで見られたかを把握」し、ページ内で離脱が多いポイントを改善します。私たちが使っているツールで見られるヒートマップはこんな感じです。

表示されたページの滞在時間を合計し色分けされており、よく見られている場所ほど暖色で表示されます。赤に近いほど見られていて、青に近いほど見られていないというわけです。上記の例の場合(スマートフォンで閲覧したWEBサイトです)、上部に赤いエリアが集まっていることから、サイト内では上部を比較的多く見られている様子がうかがえます。赤いエリアはスマートフォンで初めに表示されるエリア(ファーストビュー)とほぼ同一なので、滞在が集中しているのはファーストビューによる影響と推測できます。
黄色いエリアはサイト後半の割に、よく閲覧されているようです。該当部分にはWEBサイトのメインコンテンツである具体的な情報が掲載されており、読み手の注目を集めたと推測できます。
目的によってセグメントを変えてヒートマップを表示させ、分析することも有効な手段です。例えば1回目の訪問(新規訪問者)と2回目以降の訪問(再来訪者)をツール上でセグメントし、比較すると「訪問回数によってコンテンツへの関心が変わるか」という分析が可能です。上記の例では、新規訪問者と再来訪者は見ているコンテンツがほぼ一緒であることが推測できます。
ここから、多くの人が閲覧しているファーストビューの近くには、キャンペーンの応募誘導を必ず設置し、ページ後半でも閲覧が集中するコンテンツの付近でもキャンペーン応募の誘導を行うという改善策を考えることができるでしょう。
お悩みその2【商品認知を目的としたスマートフォンアプリを日常的に使ってもらいたい】
スマートフォンの中では、スクリーンを奪い合う熾烈な戦いが繰り広げられています。アプリを日々使ってもらうためにどうしたら良いでしょう。ここで重要なのがユーザーの声です。スマートフォンアプリのモックを作成し、対象とするユーザーに操作してもらい、インタビューで操作の感想をヒアリングしてみましょう。設計の段階では考慮していなかった課題や、ユーザーならではのニーズを引き出すことができます。
以下は、私が実際に取り組んだ案件での改善フローです。課題やターゲットユーザーのニーズを引き出すために大きく2つのステップを踏みました。

ステップ1)ペルソナ法による想定ユーザーの整理
スマートフォンアプリを利用する想定ユーザーをディスカッションにより整理し、プロジェクト内の共通認識としてまとめました。まとめる際にはペルソナ法と呼ばれるデザイン手法の1つを活用しました。
ステップ2)インタビュー調査
アプリを使った感想をヒアリングし、改善につなげるためのインタビュー調査を実施しました。インタビュー調査の参加者は、ステップ1で作成したペルソナに基づいて選んでいます。調査では「ニーズに合ったアプリになっているか」「ユーザビリティは適切か」などについてコメントをいただきました。
ステップ3)整理・分析、共有
コメントを整理・分析してリスト化した結果を、開発者を含むプロジェクト内で共有しました。発見した課題は「ユーザーニーズとのずれ」「ユーザビリティの配慮不足」「用語のわかりにくさ」などあがりました。リストでは影響度と発生頻度を考慮し、優先度を整理しています。
この結果を踏まえ、ユーザーニーズに沿った使い勝手の良いアプリを目指して改善しています。
ユーザー行動を把握するための手法は様々なものがありますが、「何が知りたいか」という目的にあわせて選定しています。ユーザーの行動を詳しく把握するために、いくつもの手法を組み合わせて時間をかけ調査をする場合もあります。スピーディーに結果を出して、繰り返し調査を行うようなこともあります。
目的に合わせて企画フェーズ、設計フェーズ、改善フェーズでユーザー行動を把握しマーケティングに活用できることが重要です。
ユーザー行動の把握に興味がでてきましたか?
ユーザー行動の把握は、マーケティング施策を成功に導き目標を達成するための有益な情報をもたらしてくれます。そして、把握・分析から得た情報をもとに施策を正しく組み立てることで、必ずユーザー満足を向上することができます。
ユーザーを中心として様々なモノやコトを設計・改善していく活動を「人間中心設計」といいます。ユーザー行動の把握・マーケティングでの活用や「人間中心設計」を、ぜひお役立てください!
出典元:D2Cスマイル