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企業が抱える課題「7つのC」を解決しマーケティングを加速させる~IBMとDACが組む意義を探る

 IBMは近年、顧客情報を統合し、最適なキャンペーン展開を実現するソリューション「IBM Marketing Cloud」の活用促進に力を入れている。2016年2月23日(火)に開催された「IBM Customer Engagement Forum 2016」では、昨年末に日本IBMとの提携を発表したデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社の徳久昭彦氏が登壇。デジタルマーケティングの最新動向と、両社の提携によってどのようなことが可能になるのか、詳細が語られた。

IBMのプラットフォームとDACのソリューション群が連携

 メディアレップ事業を中心に、複数のデジタルマーケティングソリューションの展開や、それらを通じた企業の支援を行うデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(以下、DAC)。現在では、企業のニーズに応じてマーケティング戦略立案から運用まで、オペレーションの人的サポートも含めて提供することも多い。

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社 取締役常務執行役員 CMO 徳久昭彦氏
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社 取締役常務執行役員 CMO 徳久昭彦氏

 同社は2015年12月、IBMの「IBM Marketing Cloud」との連携を発表。DACグループの既存のアドテクノロジー群と組み合わせて活用していく方針を打ち出した。

 具体的には、「IBM Marketing Cloud」およびデータ・エクスチェンジ・プラットフォームの「Universal Behavior Exchange」と、DACが展開する次の4ソリューションを接続することでクライアント支援を強化する(「IBM Marketing Cloud」の詳細はこちらの記事で紹介しています)。

  1.  日本最大級のデータ量を誇るDMP「AudienceOne(R)」
  2.  LINEビジネスコネクトに対応する「DialogOne」
  3.  Instagram認定広告運用支援ツール「sherpa」
  4.  多様なプログラマティックバイイングに対応するDSP「MarketOne(R)」

 DAC取締役常務執行役員CMOの徳久昭彦氏による本講演では、前半で最新の市場環境の変化について、そして後半で統合的なデータ活用にどう対応していくのか、IBMとの連携の詳細を交えて語られた。

企業のデータドリブンマーケティングが進む

 まず市場環境の変化について、徳久氏は「企業がビッグデータを活用する動きが活発化している」と指摘する。企業単体だけでなく、企業グループ間、さらにグループではない企業間でも、マーケティングや金融取引、サプライチェーンなどさまざまな経済活動においてデータのやり取りが増えているという。消費者がスマートフォンを常時使っているため、そこから得られるデータ量も膨大だ。

 さらに、国によるデータの公開も進んでいる。「やはり、さまざまなデータを活用しなければ海外勢に押される状況もあって、最近では少しずつだが行政機関からデータが公開され始めています。また、我々のような企業も含めて、外部の企業が事業者にデータを提供するケースも増えており、社内と社外のデータを合わせて有効に活用しようという動きが広がっています」(徳久氏)

 特にマーケティング領域での活用としては、データドリブンマーケティングが進んでいる。広告出稿やユーザーのWeb上での行動データ、SNSの投稿、購買データや昔からある属性データなど、さまざまなデータを蓄積して、それをドライバーにマーケティングを展開する概念だ。データ活用の切り口は、ターゲティングや商品・ブランド戦略、集客からファン化促進まで幅広い。

企業が抱える課題「7つのC」―内部環境4Cと外部環境3C

 「当社はメディアレップの特性上、クライアント数が約5,000社と膨大です。その中で多種多様な相談を受けているので、企業の課題を『7つのC』として整理してみました」と徳久氏は切り出す。それらは大きく外部環境の4Cと内部環境の3Cと分けられる。

7つのC(クリックで拡大します)

 順に紹介しよう。まず外部環境の1つ目はCustomerだ。自社の潜在顧客や優良顧客は誰なのかを見極めることだ。「今は50代の方が若い人向けの趣味を持つなど珍しくありません。従来のデモグラ視点だけではなく、インタレスト視点で捉える必要性が出てきています」(徳久氏)

 2つ目は、Channel。クロスメディア展開やO2Oが当たり前になった今、最適なチャネルの組み合わせを導くことは不可欠だ。その積み重ねの先に、オムニチャネルの実現がある。

 3つ目は、Creative/Contents。Web広告やメール、デジタルサイネージなど、さまざまなアプローチ施策のクリエイティブやコンテンツを最適化することも必要だ。アクイジションなのか、リテンションなのか、目的と接点の掛け合わせで適切なメッセージを届けることで、次のアクションを喚起できる。

 外部環境の4つ目は、Communication。カスタマージャーニーの重要性が指摘される中、それを踏まえて新規や既存顧客などターゲットごとに適切なコミュニケーションを図ることで、効果を高められる。

データドリブンの重要性は把握しつつ、体制づくりにハードル

 次に内部環境の3Cを見ていこう。1つ目は、Cloudだ。「これはSystemとも言い換えられる」と前置きし、徳久氏は「マーケティング領域にはたくさんのツールやシステムがあり、何を使ったらいいのか分からないという声を非常に多く聞いています。適切なツール選びが重要です」と語る。

 2つ目は、Collaboration。組織体制のあるべき姿を見据えて、社内はもちろん、どのパートナー企業とどのようにタッグを組むかもマーケティングの成果を左右する。

 最後に、Cost。ターゲットや、メディアやデバイスが細分化して数が増えれば、当然その最適配分が重要になる。「クリエイティブのROIをどう考えるべきか、あるいは運用を通したROI改善などの視点も必要でしょう」と徳久氏。

 これら「7つのC」にデータを掛け合わせて、多くの企業がデータドリブンマーケティングに着手しようとしている。徳久氏によると、さまざまな観点でデータをどう吸い上げどう使うか、企業内でもかなり日常的に話ができている状況ではあるようだ。

 「ですがまだ、実際に『十分活用できている』という段階には少し遠いかなという印象です。やはり、具体的にどのシステムを使い、どういう人を集めて、外部パートナーとどう協力すればいいのかという最初の体制づくりに特にハードルがあることがうかがえます。そこで我々も、これまでの知見を元に、統合的なデータ活用支援を強化しています」(徳久氏)

4.5億ユニークブラウザを把握するDMP「AudienceOne(R)」が核に

 統合的なデータ活用への対応として、DACが提示するのは「データ・ロジスティクス・エクスペリエンス(DLX)」という概念だ。データをロジスティクスのように考えて、企業がビッグデータを活用したい切り口のそれぞれを適切に支援し、全体のプロセスを統合して一気通貫するためのサービスラインナップを体系化している。

 具体的にDLXは、5つのサービスカテゴリを有する。たとえばR&Dやデータ解析を行う「LAB」には、企業の社内外から使えるデータを洗い出し、必要に応じてデータ同士を接続したりカスタマイズしたりするツール群がそろう。また、データ活用のツール類の整備を司る「APPS」には、実際のデータ活用を支援する、オウンドメディアのアクセス解析ツールやマーケティング・オートメーション、LINEビジネスコネクトに対応したソーシャルメディア上での1to1コミュニケーションを実現するツールなどがある。

 「これらを包括するDLXを、先の『7つのC』に対して提供しています。その際に核となるのが、当社のDMP『AudienceOne(R)』です。ひとりの人が持つ複数デバイスを把握しているため、現在4.5億ユニークブラウザ、導入企業は1000社を超えています」(徳久氏)

DACとIBMの異なる強みを掛け合わせ、包括的に企業を支援

 DLXで提供するツール群と「AudienceOne(R)」を掛け合わせれば、たとえば優良顧客を自社データの外から発掘し育成することができる。自社データを分析して優良顧客の特徴を導き出し、それと類似のユーザーを外部から探して、DSPで効果的にアプローチすれば、優良顧客化しやすいユーザーを効率的に獲得することが可能だ。

 「自社の優良顧客は10万人だったとして、自社とまだ接点のないポテンシャルの高い人が100万人いてもおかしくありません。そうした人にアプローチすることができます」(徳久氏)

 最後に、改めてIBMとの連携について徳久氏は「アクイジション、リテンションを含めたマーケティングコミュニケーションを一貫してサポートすることが可能になる」と強調する。DACは前述のDMPをもって、膨大なユーザー情報をさまざまな接点から常に集約しているが、実際の企業の顧客データや売上データなどを扱うことは稀だ。そこで、IBMのデータ・エクスチェンジ・プラットフォーム「Universal Behavior Exchange」を介して、DMPと企業が持つ情報との接続を進めていくという。

連携スキーム全体像(クリックで拡大します)

 「我々は、各種のデータ分析や連携などによって、企業のデータをよりリッチに拡張することができます。この強みと、企業に深く入ってシステム面からマーケティングを支援するIBMの強みを合わせて、さらに充実した企業支援を実現できればと考えています」(徳久氏)

 IBMとDACのタッグにより、マーケティング施策の幅が一層広く深くなりそうだ。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/05/25 10:00 https://markezine.jp/article/detail/24241