SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

UI/UX改善“実践”レポート

営業も開発も、みんなで利用者の視点に立ったら何が見える? 「rakumo」の課題はコレでした。

ペルソナが決まったら、ジャーニーマップを作ります

 ペルソナが出来たら、「補佐さん」「根回しさん」のカスタマージャーニーマップ(以下、ジャーニーマップ)を作成しました。ジャーニーマップは私を含めほとんどの参加者が、聞いたことはあるけどあまり理解していなかったものです。

 今回は「会議を開催する」ときにそれぞれのペルソナがどのような行動をとるかを、アウトプットしていきました。会議の開催をテーマにしたのは、二人はいずれも内勤で、予定を登録することが多い職種だからです。

 まずは自由に行動を想像して、書き出します。そして集まった意見を整理し、予定の実施前・変更時・実施中・実施後の4つのタイミングに分けました。予定のフローに合わせて言うと、キッカケ→調整→会議→フォロー、の流れです。整理したら二人の行動として適切なものに投票をします。

得票の高い意見だけ並べたところ。実際はこの3倍くらいの意見がアウトプットされました
得票の高い意見だけ並べたところ。実際はこの3倍くらいの意見がアウトプットされました

 そして出来上がったのが以下のジャーニーマップです。行動パターンを時系列で可視化できました!

ジャーニーマップ。ユーザーがタイミング毎に行っていることが視覚化され、わかりやすくなった
ジャーニーマップ。ユーザーがタイミング毎に行っていることが視覚化され、わかりやすくなった

 「補佐さん」が会議を開くきっかけは社長の指示です。社外での会議も少なくありません。訪問先のスケジュールを確認して参加者に候補日を提案します。あわせて訪問先への経路を調べたり、会議が終われば訪問先にお礼のメールを送ったりします。

 一方、根回しさんのきっかけは自分発であることが多く、関係者の時間を管理・調整します。頻発するリスケに翻弄されることもしばしばあります。

 共通している点は、2人とも会議の前段階に多くの行動が見受けられ、その行動のほとんどが関係者とのコミュニケーションである点です。

「補佐さん」「根回しさん」になりきって、課題を見つける

 ジャーニーマップの作成から見えてきた特徴を含め、さらに具体的に掘り下げていきます。そのための工程が、いよいよ最後のアジェンダ「アクティングアウト」です。

 聞きなれない言葉かもしれませんね。端的に言うと寸劇です。ワークショップの参加者は補佐さんか根回しさんになりきり、先に作成したジャーニーマップの会議予定を登録するシーンを体現します。

アクティングアウト風景
アクティングアウト風景

 劇中のペルソナを観察することで、ジャーニーマップをより具体的に捉えられるのです。普段、何気なく行っている予定登録の作業ですが、アクティングアウトでユーザーの立場に立ってみると、予定登録の前段階にいろいろな気遣いや作業があることが可視化できました。

 例えば、アクティングアウトにおいて根回しさんは、以下の流れで予定を登録していました。

  1. 予定参加者と会議室の空き時間を探す
  2. 候補日時を3つくらい見繕う
  3. 予定参加者に打診する
  4. 返事が返ってきて日時が確定する
  5. 予定を登録する

 根回しさんのような会議を主催することが多いユーザーは、その準備段階(工程1〜4)に多くの時間を費やしているようです。

 rakumoカレンダーは、ユーザーの空き時間を可視化する機能を備えていますが、これは「予定を登録する」画面(工程5)の中にあります。そのため、まず空き時間を探して確認をとったあとに予定を登録するようなケースでは、いったん予定登録画面を開いて空き時間を見てから(工程5)、候補日を探す(工程2)という、余計な操作が発生していることがわかりました。

 この問題は、ワークショップでプロトタイプ作成を行い解決する予定でしたが、開催時期が開発期間に間に合わなくなってしまったので、新rakumoカレンダーのリリースからは見送られ、現在進行中のワークショップで改善に取り組んでいるところです。

次のページ
ワークショップのメリットは何だろう

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
UI/UX改善“実践”レポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

田中 倫太郎(タナカ リンタロウ)

rakumo株式会社 チーフデザイナー
UIデザインとアートディレクションを担当。記者、ライター、eラーニングコンテンツの開発、ニュースメディアのアートディレクターを経て、2008年より現職。因果性や仕組みに興味があります。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2016/04/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/24254

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング