ワークショップのメリットは何だろう
私たちが取り組んだワークショップはここまでです。ここからは、ワークショップを行って良かった点と、気づいた課題を共有したいと思います。
口数の少ない社員が多い弊社にとって、付箋に意見を書くスタイルは、意見を出しやすい仕組みでした。誰が書いたかわからない匿名性ゆえ、フラットな評価ができる点も良いです(貼るところを見ていたらわかりますが……)。
また、貼られた付箋を見て新たな意見を思いつく「昇華」のプロセスが内在しているので、意見が出やすかったです。それもあってか、20分足らずで200件以上の意見が集められ、とにかく数を集めたい場合には有効だと思いました。こう書くと質より量なのか、と思われるかもしれませんが、集まった意見にみんなで投票する仕組みにすれば、質も担保できます。
一方で新たな課題も見つかりました。それが、ファシリテーション技術の向上です。ワークショップを回すファシリテーターも重要な存在です。今回は坂本さんに務めていただきましたが、適切な問いの用意に始まり、意見の出やすい雰囲気作り、さらなる意見を引き出す誘導、集まった意見のとりまとめなど、いずれも経験が必要な役割だと感じました。今後は、今回のワークショップの参加者に率先してファシリテーターになってもらい、経験値を積んでいきたいと思っています。
最後に、今回のUXワークショップは、弊社社長の指示による組織的な取り組みでした。この「組織単位」である点は重要だと思います。各部署から複数名が2時間以上参加するワークショップには、通常の業務から、多くの人的・時間的リソースを割くことになります。つまり、UXワークショップの開催は経営マターによるところが大きいのです。
結果として私たちは、部署内の問題意識を組織的に共有する手法や、企画段階などの上流工程に営業やサポート部門までが参加できる、工学的なアプローチを学ぶことができました。これは共通言語を得たとも言え、異なる職種からの切り口や意見を、製品企画の上流工程に持ち込むことができるようになりました。
また、再現性のある手法ですので、今回参加したメンバーなら各部内でワークショップを展開することもできます。実際に、重要な施策を検討する場では今回のスタイルが用いられ、短時間で合意形成に至る成果が出ています。
組織間の合意形成や会議の進め方に課題があれば、ぜひお試しになってください。ちなみに、今回ご協力いただいた坂本さんのチームが、ジャーニーマップを作成するワークショップを「UXアクセラレータ」というサービスとして提供されているそうなので、ご興味のある方はお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。
さて、UXワークショップを体験したレポート記事はこの回で終わりです。次回は最終回。ファシリテーターの坂本さんによるまとめ記事を掲載します。お楽しみに!
ここまでお読みいただきありがとうございました!