マーケティングにおけるデータの価値
松田氏の話を受け、Supership CMO(2016年5月当時)の菅原健一氏はデータドリブンの定義に関して「統計的な数字に基づいて判断・行動すること」と述べ、次のように説明する。
「データを使うことで、広告枠のバイイングはもちろん、どういったクリエイティブで誰に配信するかという適切な投資判断ができるようになります。米国や英国、オーストラリアなど広告が成熟した市場ではデジタル広告の比率が50%を超えており、さまざまな形でデータは積極的に活用されています」(菅原氏)
具体的には、オーディエンス分析やメディアミックス戦略の立案・最適化、顧客セグメンテーション、クリエイティブの改善など枚挙にいとまがない。
また菅原氏によれば、データを使うことで適切な投資判断ができるのはもちろん、データ活用の環境が整備されるためPDCAサイクルも加速するという。
「こうして投資判断を最適化・迅速化できるというのは、経営上、非常に大きなインパクトになります。実際グローバル単位でみると、競争力優位のためにデータ活用は欠かせないと考えている経営者はすでに6割を超えています」(菅原氏)
日本マイクロソフトの松田氏も次のように語る。
「データドリブンマーケティングを行うメリットのひとつに、数字を使って施策の効果検証ができるという点が挙げられます。たとえば『この投資戦略によってCPAがこれだけ下がった』というように、部門が異なってもデータを共通言語として使えるため、課題の共有や取り組みがスムーズに進みます」(松田氏)
データドリブンマーケティングに火が付いた理由
海外ではデータドリブンマーケティングが強化される中、国内に目を転じると、データ活用に積極的な企業はまだまだ少ないのが現状だ。これについて、トレジャーデータでマーケティング担当ディレクターを務める堀内健后氏は「米国のように国土が広く、多様な人種で構成されている市場に比べ、日本は1つの商材を全国に訴求しやすいという商習慣があったことと関係しているでしょう」と指摘する。
ただ、ネットサービスが拡大・増大するに連れ、顧客の動向を探るためにデータを“見ざるを得ない”という状態になっているのも確かだ。リアルであれば顧客とコミュニケーションを図ることで、顧客の感情や動きは把握しやすい。しかし、ネットでは購買や口コミ、サイト訪問など顧客の行動ログを見なければ、状態を把握することはできない。
これは何もネット専業ビジネスに限った話ではない。リアル店舗のほかにECを展開する企業は多いし、BtoB分野でもネット経由で取引先の開拓を進めるケースもある。国内の中でも、データ活用が競争力の源泉になると気付いた企業は、先んじてTREASURE DMPなどの基盤を活用しているという。
また堀内氏は、自社で提供するTREASURE DMPを例に挙げ、「クラウド環境の進化は、データドリブンでマーケティングを行うハードルを下げた」とも説明する。20年前であれば、データを集約するだけでもハードウェアやミドルウェア、データベースなど莫大な投資が必要となり、開発工数も長期に及んだ。これに対し現在は、申し込みをすれば即日データ基盤が利用できる。コストや工数をかけずにデータ基盤を利用できる環境が、データドリブンマーケティングの加速に大きく貢献しているのだ。
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