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イベントレポート

モバイルファーストに加えビデオファーストへ 海外ソーシャルメディア活用最前線

カスタマージャーニーを見据えたソーシャルメディア運用設計

 今回のカンファレンスで際立って扱われたトピックが、カスタマージャーニーです。カスタマージャーニーという言葉を耳にしないセッションはありませんでした。

 ソーシャルメディアのプロダクトメニューやコンテンツの種類の多様化、オフラインも含めた包括的なマーケティング施策への注目が、背景にあるのではないかと考えられます。

 まず前提として挙げられていたのが、複数のソーシャルメディアでオーガニック・ペイド問わず、ユーザーはそれぞれのソーシャルメディアを異なるコンテクストで利用しているため、そのコンテクストやカスタマーライフサイクルにあったコンテンツを届けることが大切という点です。

 例えばInstagram広告ならば、一部を除き多くの場合で活用目的は「商品・サービス」ではなく「体験」を売ることであり、エンゲージメントをメイン指標とし、オーディエンスのポジティブなアウェアネス獲得を目指していくべきです。

 このように、ソーシャルメディアごとにビジネス目的や指標もそれぞれ異なるべきですが、海外でもこれが重視されずに運用されるケースが多いようです。

 さらに、ソーシャルメディア横断で、徹底的にターゲットのカスタマージャーニーを見据え、キャンペーンごとに役割と指標を明確にした設計と運用が重要であると多くのスピーカーが指摘。

 そのためには、変化も踏まえた各ソーシャルメディアプラットフォームの特徴や各チャネルの性質も理解した上で、カスタマーのプロセスごとに適切な手段で相応しいコンテンツを届けることが求められます。

 もちろん、カスタマージャーニーを考えるならばソーシャルメディアだけを切り離して考えることはできず、それ以外の全てのチャネルを横断した包括的なマーケティング戦略設計も重要となります。

 この点について2日目のキーノートでは、クラウド型電子署名のBtoBサービスを提供する米DocuSign社のCaitlin Angeloff氏は「カスタマージャーニー(ライフサイクル)において、ソーシャルメディアはどのプロセスでも役割があり、貢献できる」と強調。いかなるビジネスにおいても、カスタマージャーニーにおけるソーシャルメディアのポテンシャルは想定されているよりも大きいと力説していました。

モバイルファーストに加えビデオファーストへ

 ソーシャルメディア活用とコンテンツは切っても切り離せない関係です。そのため、コンテンツに関する話題は海外でも尽きません。中でも挙げられていたのが、質が問われるという点と動画コンテンツに関してでした。

 この背景として、モバイルデバイス、中でもアプリの利用時間がますます延びていることが挙げられます。ソーシャルメディアごとに、オーディエンスのインサイトを捉えたそれなりのコンテンツを届けないと、情報過多の中ではアウェアネスを獲得することがさらに難しくなっています。

 いかなるソーシャルメディアでも、アルゴリズムに頼ることは忘れ、オーディエンスの関心を得られる良質なコンテンツを実直に生み出すことが求められています。

 これを踏まえ、特にソーシャルメディア上での広告において、海外でもまだまだ「売る」ことのみにフォーカスしているケースが多いと指摘がありました。あからさまに「売る」だけが目的のコンテンツはソーシャルメディア上でのファンを生み出しにくく、むしろ多くの場合でファンから遠ざけられてしまいます。短期的に売上が向上していても、ブランド毀損に繋がっているものではないか、常に問い続けていく姿勢も大切です。

 1日目に「Streaming Success With Social Video」というセッションがありましたが、日本同様、動画はホットなトピックでした。

 やはり短時間で効果的にオーディエンスの注目を集められる動画のポテンシャルは大きく、Emergent Digital社のDave Roth氏は「ソーシャルにおいて重要なのは、モバイルファーストに加えてビデオファーストである」と断言していました。

 しかし動画コンテンツにおいても、あらゆるオーディエンス、目的にマッチするような万能なコンテンツはありません。また、海外では動画フォーマットに頼った粗雑なクオリティのコンテンツも増えてきているのが現実のようです。

 360度動画、LIVE動画、VR・AR動画などの、先進的で新しい価値を提供できる動画コンテンツはやはり強いものの、一方で障壁となるのが撮影機材や製作環境です。

 これに関しても、動画のビジネスインパクトへのポテンシャルや利用頻度などに合わせ、購入 or レンタルを検討していくべきである、といった対策が示唆されていたように、海外の進んだ導入状況が垣間見える内容がありました。

 また、オーディエンスへの段階的なストーリーテリングと態度変容を促すため、動画は単発ではなく、(静止画コンテンツとも組み合わせて)連続での構想で活用していくべきものである、という内容も多くありました。

 PopShorts社のPeyton Dougherty氏のセッションQ&Aで出た「ソーシャル動画コンテンツのアトリビューション分析に、おすすめなサードパーティのトラッキングツールは?」という質問に対し、Peyton氏は「恐らくその手の質問は、どうやって動画コンテンツでコンバージョンさせられるか、という考え方から生まれるのでしょう。

 しかし、そもそも動画は基本的には単独でコンバージョンさせられるものではなく、アウェアネスやインタレストを目的とし、オーディエンスを振り向かせるための手法であると考えましょう。気づきを得たオーディエンスがコンバージョンにつながるような、アプローチをしていきましょう」(※)と答えていました。

 さらに「コンバージョンの観点からも、動画コンテンツのアトリビューション分析は大きなテーマです。動画がいかにコンバージョンに貢献したかを評価するには、コンバージョンに至ったオーディエンスを識別し、そのオーディエンスが生まれるために、どのようなストーリーテリングが貢献したのかを明確にしていくアプローチが大切です」とも話していました。このように、動画コンテンツへの認識についても大きく考えさせられる内容でした。

※Facebook広告のカスタムオーディエンス作成画面にて、「Facebookでのエンゲージメント」を選択することにより、Facebook・Instagramにて動画を一定以上視聴したオーディエンスリスト作成も可能です。

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この記事の著者

鈴木 雄翔(スズキ ユウカ)

株式会社Viibar マーケティング事業部マネージャー 広告プランナー

これまで運用型広告を軸としてデジタルマーケティングの設計やオペレーションに従事。前職のアナグラム株式会社では多様なビジネスの課題解決や成果追求を行う。3年間の在籍後、動画によるコミュニケーションや広告クリエイティブの可能性を突き詰め...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/07/28 17:00 https://markezine.jp/article/detail/24809

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