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カンヌ・ライオンズは広告祭の枠を超えた/若手クリエイターに向けた10の金言

ユニクロのグローバルクリエイティブ統括者による10の金言

 そして、UNIQLO / Fast Retailing のPresident of Global CreativeであるJohn C Jay氏の話を聞いた。私は知らなかったのだが、Nike の「Just Do It」キャンペーンなどを手がけた有名な人らしい。彼はセッションの最後に若いクリエイターに向けて「10 lessons for young designers」というのを紹介してくれた。彼は、この一番最初に「Be authentic.」を掲げている。

1、Be authentic. The most powerful asset you have is your individuality, what makes you unique. It’s time to stop listening to others on what you should do.

 実は、この「Authentic」や「Authenticity」という言葉を、このカンヌで繰り返して聞いた。彼以外の人も頻繁に使った単語だ。改めて辞書を引いてみたところ、『Longman Dictionary of Contemporary English』によると、「authentic」の意味は「done or made in the traditional or original way」「authenticity」は「the quality of being real or true」とあった。

 つまり、「Authentic」とは、「Original、Real、True」というのがキーだと思うのだ。このカンヌ・ライオンズが「表現の自由」の祭典であると私が直感した理由は、広告業界が「Authentic」な表現、そして、「Authentic」なクリエイティブを大事にしているからではないか。「表現の自由」がなければ、「Authentic」になれないし、面白い広告表現もできなければ、革新的なクリエイティブもできないだろう。

 さらに、John C Jay氏は、「Be friends with data and technology.」として、クリエイターにもっとデータとテクノロジーを重視して欲しいと訴えていた。

 データからは消費者のインサイトを読み取ることができる。だから、もっともっと制作過程で活用すべきだという主張だったと思う。そして、テクノロジーを駆使して様々な新しい表現にチャレンジすることを推奨しているようだった。

 このようなデータ、あるいは、テクノロジーに関する話は、今回のカンヌでもかなり取り上げられていた。今回は特に、AI(Artificial Intelligence)やVR(Virtual Reality)、AR(Augumented Reality)に関するセッションが多かった。

 これは、デジタル化が進む世界の流れを反映しているという側面もあると思う。優秀なクリエイターは新しい表現を追求しているからこそ、自然と新しいテクノロジーに敏感になるし、データの中に埋もれる新しいインサイトを抽出してしまう習性があるのだと思った。

 つまり、それが本物のクリエイターの性なんだろう。John C Jay氏の話を聞いて改めて思ったのだが、本当にクリエイティブな人間は世界に対して敏感なんだと思った。データやテクノロジーにも敏感だし、社会的な問題にも敏感だ。そして、それらを対象にして、グローバルに通じる普遍的な価値を介して「Authentic」に表現する。そして、私たちの心を動かしてしまう。

 そんなクリエイターたちを映し出す「魔法の鏡」が「Cannes Lions International Festival of Creativity」だ。そして、その背後には「表現の自由」を軸にした人類の普遍的価値「自由・平等・友愛」を背負う業界としての自負やプライドが見え隠れしていた。

本記事は「Unyoo.JP」の記事「カンヌ・ライオンズは、広告業界の内輪の賞か?白雪姫の「魔法の鏡」か?「表現の自由」の祭典か?」を要約・編集したものです。長編のオリジナルコンテンツを読みたい方は、こちらをご覧ください!

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/08/02 10:00 https://markezine.jp/article/detail/24903

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