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デジタルならではの体験をムーブメントにつなげる、マーケティング戦略とクリエイティビティとは?

ユーザーインサイトを掴むシンプルで強いアイデア

新野:コードアワードに応募された作品のなかで、個人的にお気に入りのものはありますか?

ロイ:僕は『GIGA Selfie』ですね。

 名前を聞いただけでどんなものか、全部わかるというのもすごいですし、クライアントがオーストラリア政府観光局というのも完全にしっくりきますよね。広大な景色を本当は残したいけどセルフィーも撮りたいわけで、それを両方かなえている。すべてにおいて穴がないような気がします。実は僕、オーストラリア出身なんですけど、あれは僕がやりたかったですね(笑)

ナージャ:私も『GIGA Selfie』ですね。セルフィーをイノベーションしたというか、セルフィーを考えなおして作ったという意味でおもしろいなと思います。これはワークすると思うし、キャンペーンだけども上手くいっているなと思いました。

 最先端の技術ってわけじゃないけど、でもそこがいい具合に使う人とマッチしていて、誰でも利用できるという意味でいいな、と思いましたね。

新野:確かに、当時セルカ棒が流行りだしたタイミングでこれが出てきたというのは、ユーザーのインサイトをきちんと掴んで考えられているわけで、そこがあるからシンプルで強いアイデアになっているんでしょうね。

橋田:僕はさっきも触れた『mineo フリータンク』ですね。コミュニティ運営がちゃんと回っているってすごいことですよ。アイデアはいいけどコミュニティは上手く回らないんじゃないの? って想像しちゃうんですが、上手く回ってる。これは、ユーザーが日本人だからですかね?(笑)

ナージャ:そうだと思いますよ(笑)海外だとうまくいかない気がします。

橋田:まずはコミュニーケーションから考えちゃうのが僕らの性(さが)なんですが、これは、サービスの根幹から考えなおそうよっていう新しい視点だと思います。自分たちの身を正さなきゃいけないなって思わせてくれるような作品だったと思いますね。

ロイ:クライアントと一緒にサービスから作るっていう、まさに今後あるべき姿だと思います。

ナージャ:スタートアップの会社みたいですよね。「こういうサービスを立ち上げよう」と言って立ち上げたサービスのような。

橋田:実は余っているパケットって沢山あるんですよね。キャリアはパケットが足りないユーザーにお金を払ってもらって稼ぐビジネスモデルを作っているので、そのパケットをユーザー同士で分けあうのは、キャリアにとって収益が減るかもしれない。

 ユーザーにとってベネフィットを提供することで他のキャリアに勝っていこうという戦略もあると思いますが、その「正直さ」は今後消費者が選択するときに大切になってくると思います。

デジタルならではの体験をムーブメントにつなげるために

新野:最後に、皆さんは普段クリエイターとして現場の仕事に関わられているかと思いますが、普段のお仕事で心がけていることを伺えればと思います。

ロイ:アイデア自体が新しいか、オリジナリティがあるかどうかはもちろん前提にあるんですが、最近は作ったものがいかにニュースになるかを意識していますね。

 今、テレビはYouTubeなどウェブ上で流行ったものを取り上げてニュースにすることが多いじゃないですか。その流れで、いかにデジタルから新聞やテレビに取り上げてもらうのかをすごく意識している。だから、PRチームと企画段階から一緒に組んで、何が話題やニュースになるかを考えて作っています。

 いい施策をやっても知ってもらえないと意味がないし、いい施策って身内や友達からシェアされて回ってくるようなものだと思うので。

橋田:デジタルに限ったことでいうと、「ポケモンGO」のような、みんながどんどん外に出て行くっていう現象を起こせることが、モバイルやデジタルならではのことだと思うので、触れたり感じられたりできる体験を作ることを意識していますね。

 デジタルに限らず自分の仕事としていうと、ブランドの成り立ちって「物だけ売っていればいいや」ってことからは始まっていないと思うんです。例えば、車を売っている会社は、「人を移動させることによって人を幸せにする」ために作られた“魂”があると思うんですね。

 もちろん、物を売るっていう課題があれば、そのためにどうしたらいいのかを考えなければいけません。その一方で、さらに先にあるブランドが生まれた「ワケ」に向き合ってブランドがひとつひとつ成長していく一部になれるようなことをしっかりと考えながら、デジタルもやっていけたらいいなと思っています。

ナージャ:今までいろんな審査をしてきたんですが、アワードって素晴らしいけど、それが目的になってしまうと良くないな、と。

 アワードはある種の競技だと思っているんですね。競技のルールに従うと賞は取れるかもしれないけれども、それって本質としてどうなんだろうか、と思ってしまいます。

 クライアントも私も含めて「そもそもなんでこれを作っているんだっけ?」という部分が見えなくなりがちなので、そこに気をつけて見るようにしています。クライアントにも「そもそもなんでこれをやりたいと思って、なんでこれを売りたいと思ったんですか?」と聞くと、根底には夢や情熱があったり、やりたいことがあったりするんです。

 だから、売上を上げるとか、いい作品を作って賞を取ることも大事ですが、人のためにどう役立つのか、何をよくするのかということに立ち返るようにしています。誰かをよろこばせることも、結果として賞を取ることも、どっちも失わない姿勢が大事だと思っています。

新野:アワードの作品を見ていると、ふと自分の目の前の仕事とのギャップを意識してしまって、どう現業と結びつけて行こうかと考えてしまうこともあったんです。

 みなさんのお話を伺って、単にアイデアを提案するだけでなく、ブランドの成り立ちや存在意義を一緒に見つけていけるようなパートナーになること。さらにはその先にいるユーザーの立場に立って、その人達に喜んでもらえるものを届けたいという原点を思い返しました。

 その先にあるのがアワードであって欲しいですし、コードアワードもその一端を担って行けたらいいですね。皆さん、今日はありがとうございました。

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D2Cスマイル編集部(ディーツーシー スマイル ヘンシュウブ)

 株式会社D2Cが運営する、デジタルマーケティングの総合オピニオンサイトです。D2Cの多岐に渡る事業担当者の知見を元に情報発信を行っています。D2Cスマイルはこちら

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MarkeZine(マーケジン)
2016/09/09 08:00 https://markezine.jp/article/detail/25048

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