実店舗に行く前にネットストアを確認
そのヒントは既に先人の手によって実現されていた。2000年より実店舗をもつブランドが運営している、あるECサイトを例にとって考えてみる。
彼らは当時、数百ある店舗の中の一つという位置づけでネットストアを展開していた。「実店舗の来店者とネットストアの訪問客は別の人」と考えていたのである。しかし、サイトのアクセス動向等を調査していく中で、商品の品揃えや店舗の場所の確認など、実店舗に行く前の下調べに利用するケースが多いことが分かったのである。
「実店舗への来店客とネットの訪問者がイコールで、双方を行き来しているのであれば、運営面で連携を行えばもっと店舗への集客が期待できる。」という仮説に基づいて、2003年よりネットストアの位置づけを見直し、実店舗と互いに協力し合う体制に変えた。その体制を端的にまとめると
「実店舗でネットへの集客を行い、ネットでは実店舗への集客を行う」
ということである。
具体的には
・実店舗の来店客に対してネットストアの存在を積極的に告知し、無料の会員サービスに登録してもらう
・会員に対して定期的なメルマガの中で、カタログ・セール情報や、期間限定のクーポンを配信
これらの施策で来店を促すという戦略である。
その結果、ネットストアの売り上げは拡大し、3年連続で前年比40%を超える伸びを見せている。一方で全社としての売り上げも2005年度以降から対前年比6.3%増~9.2%増と好調である。ここでアパレル業界の視点に戻してみよう。