人材に求められるスキルは?
野崎:ここまで両社の組織立ち上げの背景、違い、1年間の活動についてお話しいただきましたが、実際に両社、並びに業界で今後働く人材に必要なスキルをそれぞれ教えて下さい。

糸永:新卒か中途かで変わってくると思っています。新卒に関しては、特別な経験があることよりも、素直さが重要だと思います。特に変化の速い業界なので、弊社の企業理念「endless update_」のように、古い考えにとらわれず、常にデジタルの新しい可能性を探求できる人は向いていると思います。
中途に関しては、スキルがあることは前提に、まだ若い会社のこれからを創り、リードしていくという意味ではマネジメント領域にも関心もしくは能力が高いとよいですね。博報堂DYグループは「粒揃いよりも粒違い」という考え方がありますので、それぞれの専門性やバックグラウンドが、融合することで摩擦を起こし、これまでなかった化学反応を起こしてくれることを期待しています。
杉浦:新卒、中途問わずスキルよりもむしろマインドを重視したいと現在は考えています。立ち上げ当初はスキルや専門性を軸に採用活動を行ってきましたが、成長意欲や好奇心があれば、弊社の環境で1年もすればある程度戦力化することがわかりました。弊社はまだアーリーステージで文化をこれから形成していくところです。その中で新しい文化、まだ誰もなしえていない「新しいマーケティングのデファクトスタンダード」を創る側になりたいという方だと、会社としてもいい影響を及ぼすと思っているので、マインドを重視しています。
また、根気強さや粘り強さも重要です。デジタルの領域は泥臭い仕事も多く、常識がすぐ覆ります。大きな仕事であるほど、1、2年やってやっと目が出るみたいな側面もあるので、成長を実感しながら数年間腰を据えて同じプロジェクトでも楽しめる人は向いているのではないでしょうか。
クライアントのためにそれぞれが目指す方向
野崎:最後に両社の展望を教えて下さい。
杉浦:我々は「デジタル時代の事業成長パートナー」というビジョンの元に日々業務を行っていますが、お客さんのCMOの機能を代行するというとおこがましいですが、クライアントに寄り添って「マーケティング活動全体のデジタルシフト」を構想、実行し、最後の結果を出すところまでサービスを提供していきたいと思います。
特に我々のクライアントは日本を代表する大企業が多いので、そういった企業のマーケティングの根幹に入り込んで地道にデジタル化の支援を続ければ、「日本を元気する」ことにもおのずと繋がると信じています。
数年前はデジタル化が一足飛びでできる、何かをガラッと変えるという幻想があったと思っています。しかしながら、実際には、地道にコツコツ進めていく必要があり、それができる組織に電通デジタルを成長させたいです。それがやり切れる会社になった時、社員自体の成長にもつながり、クライアントの成長にもコミットできるのでWin-Winな関係が築けると考えています。
糸永:博報堂DYデジタルとしてはクライアント企業とメディア・プラットフォーマー双方のフロントラインに立ちながら、博報堂DYグループのデジタル中核会社として、今後もさまざまなニーズに対しグループ全体で連携して対応していきたいと考えています。
杉浦さんがおっしゃる通り、デジタル化は一足飛びには達成できません。弊社のクライアントも特定のクライアントが急激にデジタル化するというよりは、少しずつ全てのクライアントでデジタル化が進んでいます。マスメディアを含めたマーケティング全体のデジタルシフトを支援するのが私たちのミッションだと思っています。
私たちは生活者DMPをはじめ、データ周りのソリューションの開発・提供にも注力しています。その他にもTVCMとインターネット広告のメディアプラニングツールなども提供することで、広い領域のデジタル化に対応しています。そうしたさまざまな変化にあわせて、統合的なプラニングのできる人材を採用し、ともに成長していきたいですね。
野崎:ありがとうございました。業界がダイナミックに動き続けている中で、必要とされる人材要件や相場観も変化しています。今後、ますますデジタルシフトが進み、マーケティングにおけるデジタルスキルが必然となりますが、我々も社内にデジタルマーケティングチームを立ち上げており、そういった人材ニーズに応えられるよう、しっかり業界支援していきます。