日常に入り込むIoTデバイス「G・U・M PLAY」
IoTという言葉が広がる一方で、私たちが普段の生活のなかでそれを身近に感じる機会は少ないのではないだろうか。この状況のなかで、2016年4月18日(よい歯の日)にサンスターがスマート歯ブラシ「G・U・M PLAY」の提供を開始した。
歯ブラシのハンドル部分に「G・U・M PLAY」を装着すると、歯磨きの状況をセンサーが認識し、その情報をBluetoothでスマートフォンのアプリに送信するというもの。データを活用して、歯科衛生士のブラッシングの動きに、どれだけ近いかを採点するアプリや、曲にあわせて磨く場所を教えてくれるアプリ、歯を磨きながらモンスターと戦えるアプリなどが用意されており、一般生活者が気軽に利用できるIoTデバイスとして注目を集めている。
今回、G・U・M PLAYの仕掛け人であるサンスターの松富信治氏と、PARTYの田中潤氏に企画意図から開発秘話、今後の狙いまで、詳しい話を聞いた。
新しい体験を通してブランドの先進性を伝えたい
Marketzine編集部(以下、MZ):お二人はG・U・M PLAY企画にどのような立場で関わっているのでしょうか?
松富:私はオーラルケアのマーケティングを担当として、歯周病を予防するG・U・Mシリーズを含めた商品開発やマーケティング戦略の立案を行っています。
田中:私はプロデューサーとして、クリエイティブディレクターやプランナーなどのスタッフをまとめ、G・U・M PLAYのプロジェクトを進行する立場ですね。
MZ:G・U・M PLAY企画の背景はどのようなものでしょうか?
松富:G・U・Mは25周年を迎えた長寿ブランドで、長くご支持いただいている一方で、ユーザー層が高齢化している傾向があります。そのため、若い方にブランドの先進性やメッセージを伝える必要があると考えました。しかし、従来のマスメディアだけでは、若い方々へのアプローチが難しく、ましてやユーザー体験を変えることは容易ではありません。この課題意識から、今回の企画にたどり着きました。
田中:G・U・M PLAYを企画する前に、サンスターさんのオフィスへ2週間に1回、半日から1日お邪魔して、企業理念や悩みなどを聞き、ディスカッションをする時間を持ちました。そのなかで“1回の歯磨きは3分間行う”ことが推奨されている割に、浸透していないという話題が出ました。
自分の行動に照らし合わせても、「3分も磨いてないかも」と思いますよね。ちゃんとしたいけど、実際にはできていないという、みんなの課題をクリアできるようなコミュニケーションを通して、G・U・Mの魅力を伝えられないかという話になりました。
松富:データの面でも様々な調査で、体感では3分磨いているつもりでも実際は1分くらいだったり、逆に時間をかけていてもきちんと磨けていなかったりするケースが多いことがわかっています。あとは、子供の歯磨きの習慣化ですね。今までも光る歯ブラシや、音が出る歯ブラシなどが発売されていますが、なかなか課題解決の決定打にならなかった。そこにインタラクティブな何かがあれば態度変容が起こるのではないかと考えていました。
田中:そこで「やらなくちゃから、やりたいへ」というコンセプトを作り、歯を磨く3分が楽しくなるような製品を作ろう、と。もちろん、楽しいだけではダメなので、正しく磨ける機能をサンスターさんからアドバイスいただいて開発していきました。