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MarkeZine Day 2016 Autumn レポート

大企業・富士ゼロックスと老舗黒板メーカー・サカワ、オープンイノベーションの取り組み方はどう違う?

なぜ今、オープンイノベーションなのか

市川:では、最初の問いです。なぜ今オープンイノベーションに注目が集まっているのでしょうか。外と組み、共創する必要性とはなんでしょうか。

馬場:そもそも「オープンイノベーション」は、ハーバード・ビジネス・スクールのヘンリー・チェスブロウ博士が提唱した概念で、自社だけでなく他社や学校、自治体などが持つ技術やアイデア、サービスなどを組み合わせ、革新的なビジネスモデルや製品開発、サービス開発に繋げることを目的としています。それがネットの発達と普及により、やりやすくなっているのでしょう。しかし、実際のところは言葉がバズワード化し、独り歩きしている印象もあります。私は、言葉に踊られることなく、アクションに繋がる自分が納得できる定義に置きなおす必要あると考えています。

坂和:確かに流行り言葉になってしまっていますね。「その言葉を使いたいだけ」にならないように、それをやる意味や目的についてはしっかり考える必要があるでしょう。僕は、オープンイノベーションと言っても特別なことではなく、やりたいことが見つかったときに、それぞれ得意な分野を持つ人たちが組めばいいものができるんじゃないかと、そういう話だと思っています。「餅屋は餅屋」の集合体ですね。

 先ほどのKocriでも、思いついたアイデアを実現するため、自分たちだけでは無理でした。そこで、そういったことが得意そうなカヤックさんに相談したわけです。実現したいけど、自社だけではできない。外の協力を仰がざるを得なかったわけです。逆に言うと、自社だけではできなかったことも、外部との協業で実現できる環境が整ってきたということでしょう。

馬場:多様性同士が結合することで新しい血を生む。次に違うところと結合することでまた違いが出る。そういう連鎖を起こすことが、オープンイノベーションの持続的な発展と成長に繋がっていくのではないでしょうか。

「PDCA」ではなく「OODA」、一歩踏み出す勇気を

市川:次の問いに移りたいと思います。外と手を組み、共創を実現していくためには、何からどうしていったらいいかについて。坂和さん、いかがでしょうか。

坂和:「一歩踏み出す勇気」が何より大事です。僕は「こういうことがやりたい」とか「こういう社会にしたい」とか、想いが先行するタイプですし。それがないと、いろんなハードルを乗り越えられません。

馬場:よく言われるのは、0から1と1から100の違いですよね。0から1が一番大変で、1から100は価値が検証されれば意外と進む。一歩目がなかなか踏み出せないということです。一歩を踏み出すためには、「PDCA」ではなく、アメリカ軍で使われている「OODA」という考え方が重要です。まず「Observation(観察)」して、それから「Orient(情報判断)」して、「Decide(意思決定)」の後に「Act(行動)」する。

 怖いけどまずやってみる。たとえ全部失敗したとしても、その中から課題が見えるはず。そんな気構えを持つことが第一歩です。不安にさいなまれ動けなくなったとき、ドン詰まったときに必要なのは、「一体、何をしたいんだっけ」「何を目指してやろうとしたんだっけ」と立ち返られる原点となる想い。それを忘れずにいることが必要ですね。

坂和:カヤックさんのことも知ってはいましたが、どうやってアプローチすればいいかわからない。もちろん不安もありました。ですが、「実現したい」という想いがあったからこそ、普段会えないようなカヤックさんの社長にFacebookで直接コンタクト取り、相談に乗っていただけることになったのです。

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よくある「時間がない」という問題をどう解決するか

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この記事の著者

後藤 銀河(ゴトウ ギンガ)

ライター、編集者。国内外のニュース記事を中心に誰が読んでもわかりやすい文章を書けるように日々奮闘中。実は、電子設計からシステム開発、ビッグデータ解析など、幅広いバックグラウンドがあるエンジニアだったりします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/10/17 08:00 https://markezine.jp/article/detail/25316

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