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MarkeZine Day 2016 Autumn レポート(PR)

FIVEが語る、希少なアテンションをめぐるモバイル動画マーケティング戦略

 今や20代の94%以上が持つスマートフォン(以下、スマホ)。そのスマホに対するマーケティング施策として注目されているのが動画広告だ。効果的なモバイル動画マーケティングを展開するにはどうすれば良いのか。MarkeZine Day 2016 Autumnで、2014年からいち早くモバイル動画広告配信プラットフォームを運営してきたFIVEの菅野圭介氏が、150以上のブランドキャンペーン実績から導き出されたベストプラクティスを明らかにした。さらに、同社の顧客であるSMBCコンシューマーファイナンスの堀内武志氏が、実際の事例を紹介しながらFIVEとの取り組みについて語った。

マーケティングの主戦場が動画に

 2016年6月、米シスコが発表した調査結果によると、2017年までに一般的なインターネットのトラフィックの約70%を動画が占めるといわれている。実際にオンライン動画の視聴は増えており、これに伴うように動画プラットフォームのプレーヤーも増えた。たとえば5年前までは、動画といえばYouTubeというほど存在感があったが、最近ではFacebook動画の勢いが目覚ましい。米Socialbakersの調査によると、2014年11月にはWebに投稿された全動画のうち、Facebookの割合がYouTubeの割合を追い抜いたそうだ。

ファイブ株式会社 代表取締役CEO 菅野圭介氏

 この動画の普及を押し上げているのは、何といってもスマホの存在だ。YouTubeと米ニールセン社が共同で調査したところ、18歳から34歳のユーザーのテレビ視聴時間が減少し続けている一方で、YouTubeの利用時間は48%も増えており、中でも「モバイルデバイスからのYouTube視聴時間は平均40分」と前年比50%も増加しているという。

 動画は記憶に残りやすく、老若男女あらゆる人々にイメージを訴求しやすい。そのため「動画を使った効果的なマーケティング活動ができないか」と考えるマーケターは年々増加している。こうしたニーズに応えるのが、国内最大規模のモバイル動画広告配信プラットフォームを展開しているFIVEだ。同社の代表取締役CEO、菅野圭介氏は「数多くのキャンペーンを実施する中で得られた知見から、成功の共通パターンが果たして存在するのかを探りました」と語る。

ターゲットが明確なコミュニティアプリに注目せよ

 日本国内で見ても、スマホシフトは全世代で進んでいる。総務省が2015年に発表した「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では、2014年のスマホ所有率全世代の平均は62.3%となっており、中でも20代のスマホ所有率は94.1%と飛び抜けている。それから2年経つ今、全世代でスマホシフトはほぼ完了したといえそうだ。

 そんなスマホだが、「ニールセンの調査によると、実はスマホを使う時間の8割は、何らかのアプリに費やされています。また、SEOやソーシャルから記事単位での流入が多いウェブとは異なり、アプリはそのメディアを手元にわざわざダウンロードしていて目的意識が明確。そのアプリを“純粋想起”してアクセスするため、ブランドにとって非常に価値が高い瞬間になり得ます」と菅野氏は説明する。

 つまり、スマホで動画広告を展開する場合、ユーザーの利用時間の多さや属性の捉えやすさを考えると、Webだけではなくアプリも視野に入れていく必要があるということだ。

 ではどのようなアプリが、マーケティングに効果的なのか。この問いに対し、菅野氏はターゲット層が明確で、熱量の高いユーザーを抱えるアプリにマッチしたブランドメッセージを届けると、高い広告効果を示す傾向があるという。

 「数年前まではアプリといえばゲームが中心でした。しかし昨今では、特定の年代や性別に爆発的な人気を誇るコミュニティ型のバーティカルメディアも多数登場し、ブランドからみても魅力的なコミュニケーション環境になりつつあります。これにより、ますますアプリでの動画マーケティングへの期待が高まっています」(菅野氏)

 FIVEでは、これらの特色があるプレミアムなアプリを束ねたマーケットプレイス「*Moments by FIVE」を広告主向けに展開している。大規模かつ特定のユーザー群が、明確な目的や関心事を持ってアプリを立ち上げる瞬間にファーストビューでターゲットへ動画広告を訴求することができる特徴を持ち、同社の束ねるアプリ群での動画広告配信実績は重複を除いて月間2,100万UUを超え、動画広告再生数は月間6億回(ビューアブルインプレッション)に達している。

 同社が独占配信するアプリの中には、女子高生の2人に1人が使い、月間5.5億回の再生数を誇る動画コミュニティ「MixChannel」や、他人が投稿した歌や伴奏に、自分の音源を重ねることで新しい音楽を創造し、誰とでもコラボを楽しめる200万人の音楽コミュニティ「nana」、そして縦型動画の認知・普及に貢献した動画ファッションマガジン「C CHANNEL」など多岐に渡る。菅野氏によれば「人気のアプリ群には、共通する3つの特徴がある」という。

 「第一に、熱量の高いコミュニティを形成していることです。そして第二に、機能的な価値を提供していることです。たとえばnanaなら楽曲の録音、MixChannelなら動画編集、C CHANNELならHow toのアーカイブというような、明確な機能性を提供しています。そして第三に、ユーザーの『みんなと歌いたい』『人気者になりたい』『可愛くなりたい』など、普遍的、根本的な欲求をスマホでエンパワーしていることです。コミュニティの価値と機能的な価値が渾然一体に絡み合うことで“マストアプリ”として利用習慣を生み、ブランド企業も新しいコミュニケーションの場として高く評価しています」(菅野氏)

金魚以下のアテンション持続時間、どう振り向かせる?

 では、こうしたアプリ上で動画マーケティングを行っていく場合、何が重要なのだろうか。菅野氏は「テキストや画像と異なり、そもそも動画は一定時間を独占しないと意味が伝達しないため、忙しいユーザーからよりシビアに判断されるフォーマットであると認識することが重要」と語る。というのも、スマホの登場で情報流通量が増加し、人間が一つのことに注意を向けられる時間は年々短くなっているからだ。

 マイクロソフトがカナダで行った調査によると、2000年時点で人間の注意力保持時間は12秒だった。ところが2013年に同様の調査を行ったところ、8秒まで落ちていたという。これに対し、菅野氏は「ちなみに金魚が1つのものを見ていることができる時間は9秒ということなので、人間の注意持続時間は金魚に負けているわけです」と衝撃的な事実を告げる。

 ただ、これは人間の集中力そのものが低下しているというより、「世の中に面白いコンテンツがあふれて、そのスイッチングコストが限りなく下がっているから」だという。指先ひとつで様々なコンテンツに自分の好きなペースでアクセスできる環境の中で、希少なアテンションを振り分けて動画に目を留めてもらうのにはどうすれば良いか。菅野氏は「ユーザーに奉仕するテクノロジー」「打率を上げるためのクリエイティブ」「低コストリアルタイムのメジャメント(効果測定)」の3つの重要性を挙げる。

ユーザーに奉仕するテクノロジーが重要に

 まず前提として、無理やり動画を見せつけることは難しい時代。動画を届ける際のストレスを極小化する「ユーザーへ奉仕するテクノロジー」という概念が重要だという。FIVEでは、「動画読み込み時間ゼロを保証」「ユーザー主権のインターフェイス(ユーザーが視聴するかをコントロールできる)」「動画データの再利用による通信量の軽減」の3つをテクノロジーの力で実現し、ユーザーにストレスを感じさせることなく動画配信を行っている。

 ただでさえシビアなアテンションをめぐる環境なので、たとえ3Gや128kbsの通信環境でも一瞬も待たせず、関心がなければ指先で飛ばせるコントロールを提供し、通信量も可能な限り抑えることに技術的にコミットしているそうだ。

 次に重要なのが「クリエイティブ」だ。菅野氏によると、目に留まる動画には「4つの要素」が必要だという。その4要素については後ほど説明する。

 そして成功する動画マーケティングに欠かせない最後のポイントは「低コスト・リアルタイムな効果測定」だ。動画広告に期待を寄せながらも、実施後の効果測定がなかなか進まないというケースは非常に多い。

 その理由について菅野氏は、「媒体費のわりに調査コストがかかる、調査設計と分析に時間がかかるという要因があり、当たり前にブランドリフトを計測する環境になっていなかった」と語る。

 「こうした課題を受け、*Moments by FIVEでは、リアルタイムに広告接触者と非接触者で動画接触によるブランドリフトの差分を比較分析する『態度変容調査機能』を自社開発し、動画広告配信時に提供しています。これが好評で、出稿する多くのクライアントが利用する機能となり、広告効果とユーザー反応の可視化が非常に気軽に実現するようになりました」(菅野氏)

 同機能で過去に計測したキャンペーン全体では、これまで広告認知は30%から60%の範囲でコンスタントに上昇しているという。ブランド課題ごとに設定する好意度や購買行動の数値もリフトする事例は多く、フリークエンシーやクリエイティブとの組み合わせで集計した結果を提供している。毎回500から1,000サンプル程度が集まり、ターゲットユーザーの生の声を拾えるという点で、有効に活用できそうだ。

「外さない」スマホ動画クリエイティブに必要な4要素

 では、クリエイティブに必要な4要素とは何か。菅野氏は「ユーザーの視点に立って“外さない”ためのポイント」として以下の各要素の説明を行った。

 まず、一目でユーザーにメッセージが伝わる「In One Glance」。FIVEが分析したデータでは、およそ2秒で全体のうち50%の離脱が起こるため、最初の2秒でどれだけ興味をひき、指を止めてもらうことができるかが重要になる。次に必要なことは、メッセージを明確にする「Clarity」だ。スマホで動画を視聴する場合、音声をミュート状態にして視聴するユーザーも多い。ミュートで理解できる字幕を入れて訴求内容を明確に伝える必要がある。また冒頭で離脱するユーザーが存在することを前提に、ブランドやプロダクトを最初に表示することも重要だ。FIVEではクリエイティブチームがこうした最適化も無償サポートしているという。

 さらに忘れてはならない要素がある。それは「Personal」、コミュニティにとってブランドメッセージが関係あると感じてもらうことだ。簡便な方法ではコミュニティ向けにテロップを変化させたり、呼びかけを加えたりする。最近では人気なインフルエンサーの起用や、コミュニティでの流行をクリエイティブや企画そのものに反映させる事例も出てきているという。そして最後に、行動を促す「Call to Action」を入れること。たとえば動画のエンドカードに「◯◯で検索」「詳細はこちら」「投稿しよう」といった期待する行動をきちんと盛り込むと、アクション数は有意に多くなる傾向にあるという。

 逆にいうと、「うまくいかないクリエイティブのパターン」は、これら4つのポイントを外すこと。菅野氏は、失敗パターンとして以下を挙げた。

リアルタイムのデータ検証でモバイルマーケティングを強化

 続いて壇上には、実際にFIVEのプラットフォームを通じて動画広告を出稿している、SMBCコンシューマーファイナンスの金融事業部にて副部長を務める堀内武志氏が登場した。

SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 金融事業部 副部長 堀内武志氏

 カードローン事業「プロミス」を営むSMBCコンシューマーファイナンスは、そのサービスの特性上、ニーズが顕在化しにくいという特徴がある。つまりユーザーは突然の必要性に迫られて初めて、「どこのカードローンに申し込むべきか」を考えてサービスを選択するわけだ。

 ところが市場調査の結果で、モバイルでの申込が増加しているにも関わらず、モバイルユーザーの中で、ターゲット層に対するブランド認知が想定していたよりも低いことが判明したという。そこで、これまでのテレビCMや電車広告、アフィリエイト広告と異なる戦略が求められた。

 実は同社を初めて利用するエントリー顧客は20代・30代の若者が中心で、全顧客の半数以上を占める。そこで広告の主戦場としてWebに重点を置き、動画広告を展開した。効果測定に関しては、YouTubeのTrue Viewによる視聴完了率や検索回数への影響などを用いて行っていたが、「施策が認知度向上や新規顧客獲得へどの程度貢献しているかは、なかなかわかりませんでした」と堀内氏は語る。

 そこで堀内氏が選んだのは、ターゲットとなる20代・30代に強いメディアを配信ネットワークとして持つFIVEだった。リーチに関しても、「スマホシフトが完了している20代・30代のエントリー層に対しては、テレビCMと同規模以上のリーチとブランドインパクトが見込める。また、FIVEが提供する態度変容調査を活用することで競合比較も定点的に何度も実施でき、今回の施策によって想起率や潜在顧客がどう増えたのかなど、ポジショニングの変化もわかる」と堀内氏は考えたという。

 クリエイティブに関しては、菅野氏が提言する「In One Glance」「Clarity」「Personal」「Call to Action」を意識した。テレビCMを素材に、冒頭にブランドロゴを入れるなど訴求内容ごとに作り分けて表示し、字幕をいれてミュート状態での再生にも対応。動画の最後には、アクションを促すエンドカードも複数テストしながら配置して、モバイル最適化を行った。そして広告配信期間中に競合比較の態度変容調査の結果を分析し、その結果を受けてリアルタイムにクリエイティブや配信方法のチューニングを行っている。

 「これまでは施策後のデータをもっときめ細かくスピーディーに活用することを課題として認識していたものの、なかなか実現できていませんでした。それが今回の取り組みによって、キャンペーン実施中のデータを迅速に検証するというサイクルが確立すると思います。今後はその結果を踏まえてさらに効果を最大化する施策を立てるよう、モバイルマーケティングを強化したいと考えています」と堀内氏は語り、講演を締めくくった。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/10/27 08:00 https://markezine.jp/article/detail/25327