マーケティングの主戦場が動画に
2016年6月、米シスコが発表した調査結果によると、2017年までに一般的なインターネットのトラフィックの約70%を動画が占めるといわれている。実際にオンライン動画の視聴は増えており、これに伴うように動画プラットフォームのプレーヤーも増えた。たとえば5年前までは、動画といえばYouTubeというほど存在感があったが、最近ではFacebook動画の勢いが目覚ましい。米Socialbakersの調査によると、2014年11月にはWebに投稿された全動画のうち、Facebookの割合がYouTubeの割合を追い抜いたそうだ。
この動画の普及を押し上げているのは、何といってもスマホの存在だ。YouTubeと米ニールセン社が共同で調査したところ、18歳から34歳のユーザーのテレビ視聴時間が減少し続けている一方で、YouTubeの利用時間は48%も増えており、中でも「モバイルデバイスからのYouTube視聴時間は平均40分」と前年比50%も増加しているという。
動画は記憶に残りやすく、老若男女あらゆる人々にイメージを訴求しやすい。そのため「動画を使った効果的なマーケティング活動ができないか」と考えるマーケターは年々増加している。こうしたニーズに応えるのが、国内最大規模のモバイル動画広告配信プラットフォームを展開しているFIVEだ。同社の代表取締役CEO、菅野圭介氏は「数多くのキャンペーンを実施する中で得られた知見から、成功の共通パターンが果たして存在するのかを探りました」と語る。
ターゲットが明確なコミュニティアプリに注目せよ
日本国内で見ても、スマホシフトは全世代で進んでいる。総務省が2015年に発表した「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では、2014年のスマホ所有率全世代の平均は62.3%となっており、中でも20代のスマホ所有率は94.1%と飛び抜けている。それから2年経つ今、全世代でスマホシフトはほぼ完了したといえそうだ。
そんなスマホだが、「ニールセンの調査によると、実はスマホを使う時間の8割は、何らかのアプリに費やされています。また、SEOやソーシャルから記事単位での流入が多いウェブとは異なり、アプリはそのメディアを手元にわざわざダウンロードしていて目的意識が明確。そのアプリを“純粋想起”してアクセスするため、ブランドにとって非常に価値が高い瞬間になり得ます」と菅野氏は説明する。
つまり、スマホで動画広告を展開する場合、ユーザーの利用時間の多さや属性の捉えやすさを考えると、Webだけではなくアプリも視野に入れていく必要があるということだ。
ではどのようなアプリが、マーケティングに効果的なのか。この問いに対し、菅野氏はターゲット層が明確で、熱量の高いユーザーを抱えるアプリにマッチしたブランドメッセージを届けると、高い広告効果を示す傾向があるという。
「数年前まではアプリといえばゲームが中心でした。しかし昨今では、特定の年代や性別に爆発的な人気を誇るコミュニティ型のバーティカルメディアも多数登場し、ブランドからみても魅力的なコミュニケーション環境になりつつあります。これにより、ますますアプリでの動画マーケティングへの期待が高まっています」(菅野氏)
FIVEでは、これらの特色があるプレミアムなアプリを束ねたマーケットプレイス「*Moments by FIVE」を広告主向けに展開している。大規模かつ特定のユーザー群が、明確な目的や関心事を持ってアプリを立ち上げる瞬間にファーストビューでターゲットへ動画広告を訴求することができる特徴を持ち、同社の束ねるアプリ群での動画広告配信実績は重複を除いて月間2,100万UUを超え、動画広告再生数は月間6億回(ビューアブルインプレッション)に達している。
同社が独占配信するアプリの中には、女子高生の2人に1人が使い、月間5.5億回の再生数を誇る動画コミュニティ「MixChannel」や、他人が投稿した歌や伴奏に、自分の音源を重ねることで新しい音楽を創造し、誰とでもコラボを楽しめる200万人の音楽コミュニティ「nana」、そして縦型動画の認知・普及に貢献した動画ファッションマガジン「C CHANNEL」など多岐に渡る。菅野氏によれば「人気のアプリ群には、共通する3つの特徴がある」という。
「第一に、熱量の高いコミュニティを形成していることです。そして第二に、機能的な価値を提供していることです。たとえばnanaなら楽曲の録音、MixChannelなら動画編集、C CHANNELならHow toのアーカイブというような、明確な機能性を提供しています。そして第三に、ユーザーの『みんなと歌いたい』『人気者になりたい』『可愛くなりたい』など、普遍的、根本的な欲求をスマホでエンパワーしていることです。コミュニティの価値と機能的な価値が渾然一体に絡み合うことで“マストアプリ”として利用習慣を生み、ブランド企業も新しいコミュニケーションの場として高く評価しています」(菅野氏)