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MarkeZine Day 2016 Autumn レポート

「離脱してもいい、重要なのは戻って来られる仕組み」サンリオが語る“3世代に渡る”お客様との付き合い方

離脱・休眠防止ではなく「いつでも戻って来られる」仕組みを作る

 同社が年代別にキャラクターのファン層を調べたところ、5〜9歳を除くすべての年齢層で、ハローキティが70%超のシェアを占めていたという。他のキャラクターに関しては、マイメロディなら中学生から高校生、リトルツインスターズなら女子大生やOLなど、キャラクターによって支持者の多い年齢層がそれぞれ存在するという。

 また、ユーザーがキャラクターを選ぶ要因は、子供であれば親兄弟、小学生なら友達やメディア、中高生なら流行、女子大生やOLなら昔好きだったキャラクターに回帰するなど、年齢によって変遷していくようだ。

 これらの前提から、田口氏は“Always On”、いつでも何度でも、容易にキャラクターとつながることができる状態にしておくことが重要であると考える。

 「理想はユーザーと継続的なコミュニケーションを行うことです。ですが、ユーザーの成長過程で、どうしてもキャラクターから離れてしまう時期はあります。たとえば小学校高学年あたりになると、キャラクターよりもアイドルに夢中になったりするわけです。つまり、ユーザーとキャラクターの距離は、近づいたり離れたりするのが自然。しかし、再び戻ってきていただくチャンスはある。そこでしっかりつながれる柔軟で強力なリレーションを築くことが大切なのです」(田口氏)

 では、田口氏が考える、ユーザーと長くつながるカスタマージャーニーとはどのようなものか。その例が示された。

ユーザーと長くつながるカスタマージャーニー
ユーザーと長くつながるカスタマージャーニー

 ユーザーは、まず幼少期にサンリオキャラクターに触れるケースが多い。田口氏はここを重要視する「キャラクターに囲まれて育った人はそれが原体験として刷り込まれ、一時休眠しても再度アクティブ化することが多い」(田口氏)。そこで、サンリオショップでワークショップを開催するなど、思い出に残るイベントを開催している。

 ある年齢になるとキャラクターから離れる人は多くいるが、時間を経て再接触の機会があると、それをきっかけに“子供の頃好きだった”と戻ってくるという。「その再接触のときに、どういったコミュニケーションを行うかは大切です。キャラクターのことを幼少時以上に好きになってもらうよう、最適化を目指したいと考えています」(田口氏)

 なかでもサンリオが大切にしているのが、最新情報の提供と、実店舗での商品購入時やテーマパークで行われるキャラクターとのリアルな接触体験だ。

 「最新情報を得て、リアルな体験へ至る過程で、ブランドへの思いは強化されます。それが感動をともなう形であるほど、幼少時の原体験と同じように記憶に深く刻まれて、またどこかで接触したときに戻ってきやすくなるのです」(田口氏)

“デジタルでキャラクターと触れ合う体験”を提供

 では、サンリオが重きをおいている“エンゲージファースト”に基づく、具体的なコミュニケーションにはどのようなものがあるのか。セッションでは事例が紹介された。

サンリオSNSアカウント

 同社は特にTwitterに力を入れており、公式サイト以外に主要キャラクターのアカウントも10種類ほど運営している。フォロワーはそれぞれ20〜30万人で、なかでも“ぐでたま”(@gudetama_sanrio)は60万人もいるという。

 「特徴は、キャラクターのアカウントはすべて一人称でつぶやいていること。ユーザーに直接語りかけるスタイルなので、エンゲージメントレートが非常に高い。たとえば朝に“おきて〜おはよ〜”とつぶやくだけでも、9%までのぼることもあります。これは単なるコミュニケーションではなくて、ユーザーにとっては熱量を持った“体験”となっているのです」(田口氏)

サンリオキャラクター大賞

 毎年100キャラクターがエントリーし、ユーザーの投票によって大賞が決まる大人気の一般投票企画。今年は“ポムポムプリン”が初のV2を飾った。1997年に初登場にして1位を獲得したポムポムプリンだが、実は人気が落ちてしまった時期もあるという。しかし2010年から再びベスト5入りし、2013年では中間発表1位を獲得。そして2015年に二度目の栄冠に輝いた。

 「Googleトレンドで見ると、その人気復活の影には、パズドラやファミマとのコラボ、プリンカフェ1号店のオープン、抱きつきプリン施策(後ほど紹介)など、様々な取り組みがあったことがわかります。つまり、過去ずっと眠っていたキャラクターでも、何らかの契機でネットを通じた様々なコミュニケーションを行うことで、再度活性化して大きな市場を形成するケースがあるのです」(田口氏)

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウマミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/11/22 10:00 https://markezine.jp/article/detail/25465

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