小さなギフトから温かいコミュニケーションを
「サンリオキャラクターの商品は130の国と地域で販売されていますが、元はギフト商品の企画・卸から始まった会社です。 当社は“ソーシャルコミュニケーション”を経営理念に、“小さなギフトを贈ることで、人と人が仲良くなって、お互いに思いやりを持ったコミュニケーションが広がりますように”という願いを込めて事業を展開しています」(田口氏)
田口氏がそのように語るサンリオのビジネス構造は、以下のサイクルで成り立っている。
- キャラクターデザイン
- 商品企画・開発
- 販売(小売・卸)
- キャラクターの認知拡大
- 人気上昇
- 販路拡大
- ライセンス
サンリオでは1970年以降、450以上のキャラクターをすべて内製で開発している。そして、キャラクターをもとに、様々な商品を世に送り出す。その数、年間およそ5000SKUにのぼる。そして、ユーザーとキャラクターとの最初のタッチポイントとなるのが、販売だ。小売では121店舗の直営店や、百貨店内のサンリオショップ、ECでの直販。卸売りにおいては、量販店・専門店内、アマゾンやショップチャンネルなどで販売している。
販売が始まると田口氏が担当する業務でもある、キャラクターの認知拡大と人気上昇のフェーズに入る。そして、キャラクターが認知され人気が出てくると、今後はライセンスアウトしていく。現在、ライセンス提供先は国内で700社超、海外ではヨーロッパ、北南米、アジアそれぞれに800社近くだという。このように、ファンの広がりを持つと再び、そのキャラクターの商品企画・開発がされるというわけだ。
「さらに、サンリオピューロランドやハーモニーランドなどのテーマパーク事業があり、海外でもライセンス形態で展開しています」(田口氏)
多数のキャラクターを擁するが故の課題
田口氏が所属するメディア部のミッションは、“キャラクターの育成”とされる新キャラクターの企画から認知向上、既存キャラクターのプロモーションなど一連のサイクル作りから、毎年開催される人気投票「キャラクター大賞」などのイベントや、オウンドメディアやSNSの運営まで多岐にわたる。
「なかでも当社は、キャラクターの周年プロモーションを重要視しています。今年であれば、ポムポムプリンの20周年。そこでそのキャラクターを集中的に盛り上げています」(田口氏)
一方で、多くのキャラクターを抱えるサンリオには次のような課題がある。
- 各キャラクターのファンの属性・嗜好が異なる
- ブランドが細分化されており、コミュニケーションが複雑
- キャラクターの認知や売上は商品露出に依存する部分が大きく、目立たせなければならない
- 商品の流通経路が多岐にわたり、顧客接点がバラバラ
- 流通商品の9割がライセンス商品のため、ユーザーの顔が見えない
- キャラクターの人気は波が大きく、不安定
以上の課題をふまえながら、サンリオは“おばあちゃん・お母さん・子供”の3世代から愛されるキャラクターの育成と、LTVの向上を目指しマーケティングに取り組んでいる。実現のヒントは調査などから浮かび上がったユーザー像にあると田口氏は語る。