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2017年、注力すべきはブランド理解と体験 デジタル×マス×リアルで立体的なアプローチを

企業の組織改革が加速、マスとデジタルは統合へ

 他にも、生活者の注目すべき変化はいくつかある。たとえばスポーツやライブコンテンツのリアルタイム視聴が好調だったり、体験を共有できるイベント市場が拡大したり。これらはSNSをはじめデジタル上で拡散すると、さらにその場にいる価値が増すという側面も持つ。デジタルが発展したからこそ、リアルな体験が求められるようになっているのだ。

 これらを俯瞰して、荒川氏は次のように分析する。「ネット上で表面的かつ膨大な情報にさらされ続けた結果、生活者は『価値あるコンテンツに触れたい』という思いを強くし、スマートフォンだけですべては満たされないとも感じています。商品やサービスを選ぶのも、一昔前のように口コミサイトを拠り所にするのではなく、失敗しても自分の直感を信じたいという価値観も見受けられます。体験を重視する傾向も含めて、これらの潮流は来年以降さらに加速するのではないかとみています」

 では、広告主はこれらメディアや生活者の変化を受けて、今どのように変化しているのだろうか? 「antenna*」に広告出稿歴のある約1,500社の企業のうち、特に数十社とは継続的に大規模なプロジェクトを展開する中、これら企業の動向で特徴的なのは「宣伝部門の組織改革が進んでいること」と荒川氏は指摘する。

 具体的には、マスとデジタル、イベントなど領域別だった組織の統合だ。これは特にこの1年で加速した印象だという。

興味関心や欲求の喚起、そして体験がコモディティ化を防ぐ

 前述のように、メディアの変化と生活者の変化は極めて密接だ。マス、デジタル、あるいは生活者起点など、発信元が異なる様々な情報に生活者がシームレスに接触している今、既に“出版社担当だからデジタルに疎い”状態では勝ち残れないのは自明だろう。

 媒体ごとに役割を分けるのではなく、マス担当でもデジタルを理解する、あるいはその逆も然りだとする考えが広がっている。媒体ごとに効果を見るのではなく、すべて統合した上でプランニングし、PDCAを回していく必要がある。

 たとえば、今年ついに開花した動画市場をみても、組織統合が必然的であることがよくわかる。「これはGoogleが提唱している考え方ですが、かつてのプランニングはテレビ用コンテンツをPCまたはスマートフォンで見せるというテレビ起点の流れでした。今は動画コンテンツを起点に認知やブランド理解、購買促進といった目的を定め、その上でテレビやFacebook、antenna*あるいは企業サイトなど適した媒体を選ぶという、動画起点のプランニングが求められています。これを可能にするにも、マスとデジタルの連携は不可欠です」

 ここまでで語られたメディア、生活者、そして広告主の変化を踏まえて、荒川氏は2017年の広告主の挑戦として「認知以降の興味関心や欲求の喚起がカギになる」と推測する。今、AIDMAでいう認知と行動の間をつなぐコミュニケーションが欠けていることが、ブランドのコモディティ化を招いているというのだ。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/12/14 14:00 https://markezine.jp/article/detail/25660

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