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思わず喉が鳴るオウンドメディア、サッポロビール「OVER QUALITY」に込める思いとは

ニーズに寄り添いながら“自分ゴト化”できる新たなシーンを創出

――ほかに若年層に向けたコンテンツ作りとして、工夫している部分はありますか?

山根:話題になっているキーワードをテーマにするだけでなく、写真やデザインと言ったビジュアル面はもちろん、テキストに関しても、若い方に刺さるようなトンマナを強く意識しています。

 例えば「最高の乾杯」という表現にしてもかなりくだけて、「最ッッッ高の乾杯」なんて風にしてみたり(笑)。実は、これは私どもからすると、かなりの挑戦です。だからこそ、弊社はもちろん、他社もやっていないオリジナルの形がつくれたのではないかと自負しています。

――コンテンツ制作は何人のスタッフで、どのように行っているのですか?

山根:回によって多少の前後はしますが、大体6人ほどですね。撮影機材からテント、調理機材に至るまで、ほぼ人力で持ち込むので、かなりのハードワークです。さらに毎回、非常にタイトなスケジュールで動いています。

 例えば初回に関して言えば、2015年9月に撮影地などを決定する企画会議をし、12月の頭に撮影。12月16日には公開というスケジュールでした。写真の大方のセレクトも、テキストのイメージも現場で打ち合わせながら、その場でほぼフィックスさせてしまうようなスピード感です。

達成感を疑似体験させるため、徹底したハードな環境設定

――撮影クルーの数も、撮影から公開までの期間も、どちらも驚きの数字ですね。

工藤:先ほどお話しした通り、コンテンツの役割は「こんなところだったら『黒ラベル』が飲みたい」と、思えるシーンをお客さまにご提供することです。「OVER QUALITY」で言えば、コンテンツ内にも書いている通り、「達成感を肴に飲むビール」。ビールがお好きな方なら体験したことがあると思いますが、汗をかいたあとに飲むビールは格別です。この感覚をリアルに、うそ偽りなく打ち出すために少人数で挑み、絶景には季節感も欠かせないため、極力、撮影から公開までにタイムラグが生じないようなスケジュール設定しています。

山根:同時に、この人数やスケジュールは、サイトに長く滞在していただくことも意識してのことです。読み物のように没入できる構成が実現できれば、最後の最後まで読んでいただける。その読み物としての面白さを打ち出すには、美しい景色とおいしそうな料理だけでは事足りません。行程をいかに面白く見せるかが、重要だと考えます。

 少人数で挑むからこそ、目的地に到達するまでの達成感が高まる。これがキャンプのプロばかりが集まっているのではハードさに欠けてしまいます。そのため、「OVER QUALITY」の写真に登場している彼らの全てが、実は撮影クルー。モデルを立てることはせず、あの写真に写っている人間全員が、ハードワークを経て絶景やおいしい料理に辿り着いています。このリアルさが、読み物としての面白さを高めるだろうと。

工藤:毎回、テーマとなる撮影地を決定する際にも、景色の美しさや季節感はもちろん、そこに辿り着くまでの行程を、非常に重要視しています。例えば、第1弾のテーマは「ビーチクリスマス」。ローンチが12月だったので季節感はクリスマスに委ねていますが、冬のクリスマスにも最高においしい一杯が飲める暖かい土地というイメージで、常夏の島を考えました。しかし簡単に辿り着けてしまう場所では、達成感という面で物足りません。そのため船でしか辿り着けず、さらに潮の満ち欠けによって、時間配分を間違えば海中に沈んでしまう島、“幻の島”とも呼ばれる沖縄の浜島に白羽の矢を立てています。

 少人数で重い機材を担ぎ、船で島に上陸する。そこから時間と戦いながら機材や調理器具を組み立て、調理をして、ようやく最高の一杯に辿り着く。「そこまでして飲むか!」と言いたくなるような工程を表現しているのが、実は「OVER QUALITY」というコンテンツ名です。

山根:訳すとすれば、「超越したところにあるクオリティ」というイメージでしょうか。ただし厳密に言えば、英語の文法としては正しくないフレーズです。しかしメインターゲットである若年層に向け、文法の正しさよりも、ニュアンスで訴えかけるような和製英語が刺さるのではないかと。

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D2Cスマイル編集部(ディーツーシー スマイル ヘンシュウブ)

 株式会社D2Cが運営する、デジタルマーケティングの総合オピニオンサイトです。D2Cの多岐に渡る事業担当者の知見を元に情報発信を行っています。D2Cスマイルはこちら

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2016/12/05 08:00 https://markezine.jp/article/detail/25669

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