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YouTuberの動画が刺さるただ一つの理由~放送作家・鈴木おさむ氏と考える動画クリエイティブ論


 「企業はつい、多くの人に向けた動画を作ろうとする。それが間違い」と、放送作家の鈴木おさむ氏はオンライン動画へのスタンスを語る。本記事では鈴木おさむ氏、同氏が社外取締役を務め動画をつかったインフルエンサーマーケティング事業を行う渋谷クリップクリエイトの代表取締役社長 桑野俊一氏と「なぜ爆発的な再生回数を誇る動画が出るのか、どうして流行るのか」といった“ネット動画における疑問”の解を探った。

「企業タイアップのためのWeb動画」で事業化する

 「Web動画には、ネット特有の面白がらせるツボがあるのだろうか?」成果をもたらすWeb動画の作り方に興味を抱くマーケターにとって、気になる点だろう。

 放送作家として数々のヒット番組を生み出してきた鈴木おさむ氏だが、実は2014年7月以降、鈴木氏はサイバーエージェント子会社で企業タイアップのWeb動画を制作・運用する渋谷クリップクリエイトに社外取締役として参画している。そんな同氏は、Web動画に関してどのような考えを持っているのだろうか。

(左)放送作家 鈴木おさむ氏
(右)株式会社渋谷クリップクリエイト 代表取締役社長 桑野俊一氏

 「2014年当時、スマートフォンで映像を観るニーズの高まりを感じていました。すでに一部のYouTuberは活躍していましたし、スマートフォンの浸透と比例するように、企業がネット上の動画にお金をかける意味が大きくなってきた時期でした。

 その頃に、サイバーエージェントの藤田さんと話をする中で『企業とプロモーション用のWeb動画を制作する会社があっても面白いのでは』となった。お互いの考えが合致したので、渋谷クリップクリエイトの立ち上げに至ったわけです」(鈴木氏)

 「設立当時は、今ほどYouTuberが企業とコラボするということは少なかったんです。そこで、弊社がYouTuberとパートナーシップを組みながら、ビジネスの企画が実現できる事業を始めたいと考えました」(桑野氏)

 先駆けてWeb動画専門の制作会社を立ち上げた両氏だが、「設立当初は、暗黒時代だった」と桑野氏が振り返る。当時は競合がいない分、成功事例もほとんどなかった。なかなか受注が伸びない暗中模索の船出だったという。

YouTuberと“本気”で向き合って見えた光

 暗中模索を続ける中で、渋谷クリップクリエイトは設立当時から守り続けたことがある。それは「決して鈴木おさむの名前を出さないこと」であった。

 「藤田さんに、鈴木おさむの名前が出ると会社のためにならないと最初に言われたんです。鈴木おさむの作品という目線になってしまうから。僕は、企画会議に出て、How toを教えたりアドバイスを出したりはしましたが、外部になるべく公表しないことを貫きました」(鈴木氏)

 また鈴木氏は設立当初、Web動画の企画が「絶望的に大変だった」と語る。企業側には、Web動画には本当に宣伝効果があるのか、再生されるのか、という疑問があった。その中で企業が求めることを反映し、かつ面白いWeb動画にするには、根気強い手直しと多大な労力が必要だったという。

 では、突破口は何だったのか? それは、YouTuberとの関係性を熱心に築き上げたことだった。

 「僕は良い番組を作るために、出演する若手芸人と寝食を共にし、一緒に作り上げる気持ちで向き合っていました。彼らと打ち解けて、懐に入っていくにはそうするしかないと思っていました。YouTuberと仕事をする場合も同様で、一緒に動画を作ろうとオファーする以上、彼ら、彼女らと心から打ち解ける間柄になることは絶対忘れるなと、桑野をはじめとしたメンバーに伝えました」(鈴木氏)

 「鈴木さんからこのアドバイスをいただいて以降、社員一丸となって、YouTuberとの関係構築に腐心しました。彼らのことを知るために、YouTuberとできる限り長い時間を共にするのはもちろん、自らYouTubeに動画をアップロードしたこともありました。関係性がぐっと近づいてくると、一気に所属事務所とも親密になって、オファーがしやすく、企画も以前よりブラッシュアップできるようになり、成果の上がる取組みが増えました。」(桑野氏)

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この記事の著者

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/12/13 16:58 https://markezine.jp/article/detail/25707

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