あくなき探求心を持つマイクロインフルエンサーの登場
これまでマーケティング領域における「インフルエンサー」といえば、タレントなどの著名人や読者モデルなど、ライフスタイル全般において「憧れ」の対象であり、影響力を持つ人でした。ところが昨今では、食や美容・家電などある特定の領域において、豊富な知見と情報量で影響力を有する「マイクロインフルエンサー」の存在が注目を集めています。
マイクロインフルエンサーに共通しているのは、その特定の領域に対するあくなき“探求心=オタクゴコロ”と根底にある“深い愛”。だからこそ徹底した情報収集に加え発信にまでパワーを注ぎ、かつその情報が受け取り手の心を動かすのです。
そしてInstagramにおけるマイクロインフルエンサーは、著名人に比べてフォロワーとの距離が近く、その結果として一回の投稿あたりの「エンゲージメント率(いいね!やコメントをする確率)」が高いという特徴があり、その領域においては絶大なる影響力を有しています。そのためInstagramを活用したマーケティングにおいては、このマイクロインフルエンサーにいかにリーチするかという点が重要となります。
マイクロインフルエンサーの“オタクゴコロ”をくすぐる
今やオシャレなホットプレートの代名詞となった「BRUNOコンパクトホットプレート」のヒットの一因には、Instagram上のマイクロインフルエンサーの存在があると考えています。例えば、人気の「デリスタグラマー」(食の領域において影響力を持つインスタグラマーであり、マイクロインフルエンサー)が「#ブルーノ研究部」というハッシュタグを作り、BRUNOコンパクトホットプレートの利用シーンを投稿しました。

すると、それに追随する形で同様のハッシュタグでの投稿が増え、商品のあらゆる楽しみ方・利用シーンがInstagramで一気に拡散しました。従来のホットプレートと異なるコンパクトさやスタイリッシュなデザインが、ホームパーティーやテーブルコーディネートを好んで投稿する、デリスタグラマーの嗜好をうまく捉えた成功事例といえます。
マイクロインフルエンサーの心を捉えるには、まずはターゲットを見極めてそのインサイトを探り、投稿の特徴などを正しく理解すること。その上でその“オタクゴコロ”をくすぐるような情報提供を図ることが必要です。そして彼、彼女たちの情報発信は、営利目的ではなく「良いモノを広めたい」というその領域への“深い愛”によるものだということを決して忘れてはいけません。
Instagramを活用したマーケティング施策で陥りがちなワナは、女性の間で流行っているから、ユーザー数が多いからなどの理由でInstagramを単なるツールとして捉えてしまうこと。成功に導くためには、女性たちがそこに何を求めているのか、なぜそこで発信をしているのか、そのモチベーションを正しく理解した上で、女性特有の直感や感性に働きかけるようなコミュニケーション設計を心掛けることが必要なのです。