初回利用とリピーターの2つのペルソナを作成
そこで、まずMarketing Cloud導入にあたり、大きく「初めてリクナビ派遣を利用する人」と「リピーター」という2つのペルソナを作成した。ユーザーの大半が女性のため、女性であることは前提として、インタビューなどから、この2タイプでは知識や行動が大きく異なり、その結果仕事の探し方も異なるとわかったからだ。
ペルソナは、かなり細かいレベルまで落とし込んでいる。「初めて利用する人で想定しているのは、地方から上京してくる女性。年齢は20代半ば、正社員でばりばり仕事をしたいというよりは、バランス良く働いて自分の好きなことにお金と時間をかけたいという考えを持っています。周囲には既に上京して派遣で働いている友人がいて、その話を聞きながら自分もできそうだなというイメージを持ち上京した、そういうカスタマーです。リピーターのカスタマーについては、そのちょうど5年後くらいを想定して作成しています」(古舘氏)
先ほどの課題を踏まえて、この2つのペルソナにどうアプローチすれば、より良く情報を届けられるか。Marketing Cloudをする上で、誰に送るのか(セグメント)、どういった内容を送るのか、いつ送るのかという3つの大きな観点がある。「最初のステップとして、セグメントの再検討から取りかかりました」(古舘氏)
ECサイトの鉄板施策“カート放棄”を応用
前述のように、これまでもリクルートジョブズはメール施策をかなり追求している。そこでまず同社がとったユニークな策は、様々なネットサービスの中でも施策改善による効果が上がりやすいECサイトを参考にしたことだ。ECサイトで“鉄板施策”といわれる施策を、派遣サービスに置き換えて考えてみたという。
どのようなシナリオがふさわしいかを考え、前述の両ペルソナのカスタマージャーニーを改めて把握。仕事探し、エントリー、面接、派遣先で勤務開始、契約終了、新しい仕事探し……という一連の流れの中で、モチベーションが特に高まっている仕事探し中の人(=ホットユーザー)へのアプローチが先行だと行き着いた。
「2つのペルソナのジャーニーを考えると、行動が重なっている部分があります。先の課題を考えると、初めてのカスタマー、派遣の経験がすでにあるカスタマーともにアクティブになっている瞬間に必要だと思われる情報を届けることができれば、カスタマーにより便利に仕事探しをしてもらえ、その結果コンバージョンにも繋がるだろうと思いました。そこで、それぞれのジャーニーを鑑みて、特にアクティブだと考えられるカスタマーに対して、Marketing Cloudによるメール配信を開始しました」(古舘氏)
そこで取り込んだ鉄板施策の1つが、ECでカートに商品を入れたものの購買しなかったユーザーにアプローチする、通称「カート放棄」だ。これを応用し、エントリー中の離脱やキープリストの登録をトリガーに、ホットユーザー向けシナリオを構築した。もちろん、この施策以外にも複数施策を実施している。
「Marketing Cloudの良さの1つとして、PDCAをたくさん回せることが挙げられます。それを前提で考えていたので、セグメントも最初は『何をもってカート放棄とするのか』を確定せずに粗い粒度で始めて、仮説をもとに細かくモニタリングしながら徐々に絞っていきました。こういう切り口で見るとどうか、と思いついたアイデアをパッと試すことができるのがMarketing Cloud。試行錯誤を通して結果的に、従来の何倍ものコンバージョンが得られるようになりました」(古舘氏)
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