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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

今だから始める!カスタマージャーニーマネジメント入門

「変化」を踏まえて作っていますか?カスタマージャーニーマップに潜む落とし穴

デジタルとリアルを統合するプラットフォームとしての側面も

 昨今、デジタルとリアルを組み合わせて成果を出せる人材が求められています。しかしリアル中心でやってきた人はデジタルの使い所のノウハウを持っておらず、デジタル側の人はリアルとの組み合わせについて知見が十分ではないというのが現状です。また、デジタルとリアルが絡むと、今まで以上に様々な職種の人材がチームとして働くことになり、バックグラウンドが複雑になっていきます。

 今のマーケティング業界は、変化を起こすテクノロジーとスキル、ノウハウが散在している状態です。適切に組み合わせれば変化を起こせますが、条件を外せば変化は起きません。そのため、テクノロジー、スキル、ノウハウを集めて整理統合して、変化を合理的に起こす戦略を立案する「プラットフォーム」が求められます。

 カスタマージャーニー視点では、この課題に対して、「現状の顧客の生活を共通の土台としてスタートして、ブランドが今後目指すべきジャーニーに着地させよう」という姿勢で臨みます。カスタマージャーニーマップは、生活を軸として、生活に対するマーケティングの影響を表現したデータでもあります。

 ここでも上述の、現状と今後の2本のカスタマージャーニーで考えるというフレームワークを用いるとイメージが湧きやすいと思います。即ち、現状のカスタマージャーニーを目指すべきカスタマージャーニーに変化させるには、社員が各々何をすればよいのか、どのようなテクノロジーが最適かという役割を明確にして、ジャーニー上で統合するわけです。

 これにより「消費者の生活体験をブランドのためにどう変化させるか」が共通言語になり、分断されがちな専門スキルや経験、デジタルとリアルを統合して、ブランドのために生活に狙った変化を起こしてビジネス成果まで結びつける実践的な仕組みを構築できます。

重要なのは作ることではなく、変化させること

 カスタマージャーニーは購買行動の可視化という側面がクローズアップされがちですが、実際には生活とマーケティングをダイレクトにつなげ、消費者と企業双方にとって有益な変化を生み出すことができるツールです。カスタマージャーニーマップを描くことはあくまでスタート地点であり、本質はカスタマージャーニーを変化させることです。

 その際、キーとなるのが「現状のカスタマージャーニー」と「今後目指すべきカスタマージャーニー」の2本を用意して、その間を埋めていくという考え方です。この2本のジャーニーの差分を埋めることで、意図的に変化を起こすマーケティングの基礎ができあがります。

 企業側が提供する施策と、その結果としての消費者側の購買行動やブランドに対する認識の変化が、生活という動線上にすべて表現されているカスタマージャーニーならではの戦略立案アプローチです。ですから、このコンテンツを読んだ後にカスタマージャーニーという言葉に触れた時は、「そのジャーニーはどんな変化を語ろうとしているのか?」という視点で話を聞いたり、コンテンツを読んでみたりしてください。

 次回からは、ストーリーテリング、営業、製品開発、効果測定などビジネスのシーン毎に、カスタマージャーニーがどう使えるのか、どのような考え方やアプローチを用いて"変化"を生み出すことができるのか、事例を交えて解説していきたいと思います。また、働き方改革や業務量と質の問題の解決においてカスタマージャーニーがどう使えるのか、といったテーマについても紹介したいと思います。

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この記事の著者

村山 幹朗(ムラヤマ ミキオ)

 株式会社コレクシア 代表取締役。APRC/JMRAアニュアル・カンファレンス2016にてカスタマージャーニーの現場活用をテーマにした発表で最優秀賞を受賞する他、アカデミアと実務家の連携によるカスタマージャーニー研究会「JEXIS」を主宰する等、カスタマージャーニーの理論研究と実践の両輪でマーケティング支援を行う。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/04/10 12:00 https://markezine.jp/article/detail/26293

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