なぜマーケターには幅広い知識が必要なのか
柿野:マーケターはビジネスとしての成果を最大化するために、ビジネスモデルを考えて実現可能な形にして提供することを期待されています。そのためには、自分たちを助けてくれる仕組み・会社・人がどういう形をしていて、どこまでできて、どういう風につなぐかということがわかっていることが大事になります。
だからマーケターって薄くて多彩な知識を頭に入れておくといいんです。社内事情やお客様に詳しい社員は山ほどいます。マーケッターは会社の中で数少ない、外から社内を客観的に捉える職種です。顧客と直接接点は持たないが、様々な組織外のパートナーと結びついている。会社の中と外のバランスをどう調整するかがマーケターのファンクションの一つといえます。
いろいろなコンテクストの知識を持っていると、パートナーが求めているものを提供できる確度を高めることができます。そうすると、より一層パートナーの信頼性が高まりますし、外からのインプットも増えてくる。
やんなきゃと思うとダメ、楽しくないと無理
柿野:ただ、無理に勉強すると身につかないのも事実です。何かのために学ぼうとか、義務感で学んでも楽しくないし、うまくいかないです。
そこで、大事なのが自分に対する理解度だと思います。自分がどういう働き方をしたくて、本当はどういうことをしたいかがわかっていないとダメなんです。今までどういうことをやってきて、どういうことに喜びを感じているのか、自分がどういう仕事に向いているかを知ることは、プログラミングを学ぶ以前に必要なプロセスでしょう。いわゆる自己分析ですね。
僕もこう見えて、自己分析とか結構したんですよ。28くらいのときにSAPをやめて、外資系飲料メーカーのデータアナリストになろうとしたんですね。
当時、異業種の転職を評価してくれる環境だったのですが、リクルートが提供していた適職診断のR-CAPというプログラムをやってみたら、SAPでやっていた仕事は数ある仕事の中でも二番目に向いている仕事だったんです。ところがデータアナリストには向いてないことがわかり、会社に残ることにしました。
そういう経験があるので、心理学や社会学やコーチングの本を読んで、自分に向いていることを探すのは大事だと思っています。自分や周りの性格・適性を知ることは、コミュニケーションにも役立つので、ぜひ試してみてほしいですね。
――最後に、プログラミングを学ぼうか迷っているマーケターの方にメッセージをお願いします。
柿野:プログラムは一歩一歩確実に成長していくので、できることが増えていくのを実感できて気持ちいいですよ。僕が初めてプログラミングに触れたとき、ファミリーベーシックでコードを書いて、マリオが自分の思ったように動いたときの感動は忘れられないですね。
プログラミングによって作業を自動化して自分の時間を増やすこともできますし、少しずつでもいいのでぜひ勉強を始めてみることをおすすめします。
