MAツールでコミュニケーション工数の負荷を大幅に削減
三陽商会は、ライセンスブランドから自社ブランドまで数多くのブランドを抱えており、販売チャネルも「百貨店」「直営店」「EC」など様々だ。そしてブランドターゲットごとにあらゆる年代の顧客がいるため、従来はどうしても「最大公約数的なコミュニケーションになりがち」だったという。
画一的なコミュニケーションから脱却するためにパーソナライズしたコミュニケーションに取り組んだが、実施は容易ではなかった。セグメントを細かく分けて配信回数を増やすと、運用工数は増加し担当者は疲弊する。結果として本来やるべき分析や戦略立案に手が回らなくなる。配信先となるメールアドレスのリストアップも手作業で行っていたので、タイムリーに情報提供を行うのは不可能だった。
「そこでCCMPを導入し、メール運用を効率化してタイムリーな情報発信を目指しました」と安藤氏は語る。
短期的な受注やCVRではなく長期的視点で効果を捉える
メール運用の効率化に向け、三陽商会が最初に取り組んだのは、以下に挙げる10種類のメール送付の自動化だった。
これらのメール施策は、いずれもMAツールにおいて“鉄板施策”と呼ばれるほどポピュラーで手堅い取り組みだ。特にインセンティブを付けることで、短期的に売上や受注・コンバージョンが上がることは珍しくなく、ツール導入の効果を得られやすい施策だといえる。
「ただし、長期的な視点に立ってみると、インセンティブを付けた顧客の場合アクティブ率やLTVが低めになることもあります。たとえば、クーポンや割引を付けたことで短期的に受注やコンバージョンが上がるものの、その後も定常的にウォッチを続けると、クーポンで来たお客様の返品率が高いということがわかることもあります」(安藤氏)
インセンティブによってキャンセルや返品が増えては元も子もない。だからこそ、目先の売上やCVRの向上ではなくアクティブ率やLTVの向上を大切にして、メールを配信するタイミングや内容をチューニングしていく考え方を取っていきたい、と安藤氏は考えている。