大きく変化し続ける、生活者の購買行動
事業のサービス化とは何なのか? の前に、その前提となる“なぜやらなければならないのか”について解説します。
その理由は「生活者の購買意思決定行動が変化しているから」に他なりません。生活者は、以前はファネル型の購買行動(数多くの商品から、段階的に検討し最終的に買うものを選び取っていく)が主だったのですが、現在はエコシステム型、つまり、既につながっている関係や接点の中からその時々に合わせ商品やサービスを選び取るようになっているのです。

つまり、いち早く生活者と「つながり続け」たり、「関係を構築」しているブランドやサービスが‘選ばれやすくなっているのです
とはいえ、複雑でわかりづらい生活者と、どのようにすれは「つながり続け」られるのでしょうか。いくつかのヒントを例示します。
つながり続けるための3つのヒント
1:「購買体験全体」が心地よいか?
生活者は「何を買うか」というモノを購入するといった視点のみで購買しているのではなく「買いたいものがあったら、見やすくて使いやすいアプリにまず行ってしまう」というような「買いやすさ」であったり「インスタは自分の欲しい情報がすぐ検索できる。見てる間に欲しくなったから、ここでこのまま買ってしまおう」という「情報取得のしやすさ」で購買体験全体を評価し、購買行動を決定しています。
求めるタイミングや接点で、適切に次の行動へうつるためのアシストやサポートがあるかどうかが、心地よさを決めているのです。
2:「日常期」の「マイクロニーズ」に応えているか?
とある契約型サービスの例です。顧客調査をしてみると、契約者の約7割が普段の店舗でのちょっとした応対の不備や友人との会話の中で、自分の選んでいるプランがひょっとして最適なものではないのではないか……といった小さな疑問を抱いていることが明らかになりました。それが潜在不満として溜まり、結果的に解約率の高さにつながっていることがわかりました。
この例に限らずブランドを選び続けてもらうためには、画一的で企業都合なコミュニケーションよりもお客さまと接する普段のコミュニケーションの中で、一人ひとりのちょっとしたニーズや不満を聞きその都度リアルタイムに対応することがつながりを構築するには近道と言えるでしょう。
3:ヒトの「本質的な欲求」にこたえているか?
近代マーケティングの父、フィリップコトラーはマーケティング4.0=これからの企業と顧客のありたき姿を「大方の欲求が満たされている現代の顧客に対して、より上層の“顧客の自己実現欲求にこたえる”こと」と定義しています。
たとえば、歯を健康に保ちたいという欲求に対して、歯磨き粉の質をどんどんあげ続けることだけで応えるのではなく、歯の磨き方を記録できるサービス(たとえばIoTなどデバイスを活用したもの)を開発して、ユーザーに良い歯磨き方法を毎日継続してもらうことのほうが、本質的な欲求にこたえているのでは? というようなことです。