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コンテンツマーケティングの新常識

バズるよりももっと大切なコト コンテンツマーケティング成功の鍵は“物語”


 コンテンツマーケティングにおいて、単に認知獲得のためにバズらせればいいというのは既に過去の話になりつつある。ヒットコンテンツメーカーであるLINEの谷口マサト氏が解き明かす、コンテンツマーケティングの新常識。

コンテンツマーケティングの3ステージ

 3年前に、著書『広告なのにシェアされるコンテンツマーケティング入門』(宣伝会議)で、バズりやすい広告について書きました。SNSを活用してコンテンツを企業のWebマーケティングに使う事は、当時としては珍しかったからです。

 それから現在まで、マンガや動画など、テキスト以外のコンテンツ活用も試しつつ、ユーザー調査を続けてきました。コンテンツに触れて、ユーザーの物の見方がどう変わったかをアンケートやインタビュー等で調べていきました。それらの結果、単に認知獲得のためにバズらせればいいというのは既に過去の話になりつつあり、その先の態度変容や、売上につながる行動変容まで、より多くのものがコンテンツマーケティングに求められる時代になってきていることがわかってきました。この変化を3つのステージ別にまとめたのが次の表です。

コンテンツマーケティングの3ステージ
コンテンツマーケティングの3ステージ

 誤解がないように言いたいのは、この3つのステージは、完全に入れ替わっていくものではなく、積み重なっていくものだということです。

 テキストコンテンツがマンガや動画に置き換わっていくわけではなく、表現方法として加わっているだけです。根本的な企画、広告とコンテンツの組み合わせ方や、ストーリーの作り方はすべて共通しています。また、成果として「バズるより大切なこと」があったとしても、依然としてバズも求められます。旧来のステージの否定ではなく、より難易度が増していっている現状と、それを打破する方法がないか、という事を考えたいと思います。

 キーワードはどのコンテンツでも中核に位置するストーリー、物語です。

バズる「笑い」と愛される「泣き」

 かつて、バズ狙いのコンテンツといえばお笑い系がほとんどでした。とにかくバズらせよう、とした場合、ボケまくるかあるある共感ネタ等で「笑わせる」というのは定番だからです。「笑った」という経験はシェアという行動に結びつきやすいので、新商品や機能の認知獲得にはとても相性が良いものです。しかしそれで「態度変容が起こったのか?」まで求められだすと、話は違ってきます。

 以前、Web上で連載を持つ人気マンガ家と対談した時に「バズる話と、愛される話は違う」という話を聞きました。SNSでのシェア数ランキングと、アンケートで「好きなエピソードは?」と聞いた時の好感度ランキングの結果はまったく異なるそうです。

 それを聞いた後に、改めてその方の作品を読者の反応とあわせて振り返ってみると、バズってるのはあるある系のお笑い話が多く、一方でバズってないけど読者に人気があるのは、どこかもの悲しい、人生を感じさるエピソードでした。

 思えば、街中で笑っている人を見かけることはあっても、えんえんと泣いている大人は滅多にいません。泣く時、多くの場合一人だからでしょう。「泣き」は個人的なもので、「笑い」に比べてシェアしにくいものです。特に私のようなおっさんが「泣いた」と言っても、「知らんわ」「キモいわ」という反応が返ってくるので、一人で枕を噛みしめるしかありません。

 しかし、態度変容の調査をすると、やはり「泣き」がある方が、大きくユーザーの心に響いていることがわかります。もしも態度変容の調査をせず、PVだけで成果を測った場合、「バズったけど何も残っていなかった」という結果を招く可能性があります。よりひどい場合は「炎上してより悪いイメージになった」ということもあり得るでしょう。

 最近、企業のWebキャンペーンが炎上することが多くなっています。その背景には、「とにかくバズを求められる」ことから、内容がどんどんとエスカレートしていく傾向があるのではないでしょうか。そこから脱却するためには、より感情に訴えかける物語性が必要になってきます。

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この記事の著者

谷口 マサト(タニグチ マサト)

滋賀出身。マンガ原作者、LINE社コンテンツマーケティングチーム、チーフプロデューサー。ネットでオリジナルコンテンツを作ることをテーマに、LINE社で企業とコラボしたコンテンツを日々制作している。個人でもコンテンツ制作を行っており、月間300万PVの個人サイト「chakuwiki/借力」はベストブログ・オブ・イヤー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/02/20 14:17 https://markezine.jp/article/detail/26742

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