GIF活用で、ブランド目線ではなく生活者目線のクリエイティブに
――そもそも、どういった経緯でGIF動画のことを知ったのですか。
廣澤:「リーゼ プリティア」より前に、スキンケアブランド「キュレル」でGIF動画を使った施策を実践していました。GIFMAGAZINEはブランド担当者の考えるブランドメッセージに沿ったクリエイティブ構成案をタイムリーに出してくれたのが好印象でした。実施した結果広告の配信効果も高かったので、プリティアにも転用できるのではないかと考えたんです。
実は今回の取り組み前の「リーゼ プリティア」の施策で、静止画バナーを用いてSNS広告を配信してブランドリフト調査を行ったところ、クリックはあったのですが認知リフトに大きくはつながらなかったんです。それで他に認知リフトに効く施策がないかと探していたのも、GIF動画に取り組んだ動機ですね。
松浦:前の施策では、ブランドサイトで使用したキービジュアルにメーカーメッセージを載せたバナーを出していました。一方的にブランドが伝えたいことを伝えるだけではいけないなと痛感したので、今回はターゲットが自然に受け容れてくれるクリエイティブを作るために、GIF動画にチャレンジしたんです。
伝える要素は、一つにしぼる
――GIF動画を制作する上で、通常のWeb動画やテレビCMとの違いはありましたか。
松浦:テレビかWebかを問わず、ふだん動画を作るときは、広告代理店のクリエイティブディレクターや営業の方に向けてオリエンをして、構成案・絵コンテを作成して……と主に広告代理店のクリエイティブディレクターの方が仕切っていきます。たとえば、クリエイターのキャスティングもクリエイティブディレクター主導のことが多い。
ところが、GIFMAGAIZINEとの取り組みの場合、メニューによっては私たち広告主の側でクリエイターから提案をもらえるのが新鮮でした。4本の動画を作ったのですが、クリエイターを分けることで、全然違うトンマナのものを作ることができたのも良かったです。
廣澤:ブリーフィングのあり方も変わったと思っています。デジタルの世界って動画の枠組みでいうと時間の制約がないので、伝えたいことを伝えようとしたらいくらでも長くできるんですよね。なので、Web動画は伝えたいことを詰め込み過ぎて、気づいたら長尺になっていたということが起こりがちです。
今回オリエンの中で、伝える要素を明確に、一つにしぼるというのは広告主として新鮮な経験だったし、生活者に届くクリエイティブを作るための方法論として今後活かしていけるのではないかと感じています。
短尺のGIF動画は「クリエイティブの運用」に最適
松浦:ブリーフを提出した後は、GIFMAGAZINEから見せ方の提案をいただき、広告主側が必要な素材を用意していく流れでしたが、全体を通してスピード感がすごいなと。短尺動画ということもあり、構成案から最終的なアウトプットが明瞭にイメージできるので、コミュニケーションの精度も高かったです。
ヘアカラー商材は医薬部外品ということもあり、使えない表現や注意表記義務など規制も多いのですが、こちらの希望には柔軟に対応していただきましたし、使える表現の幅が狭まっている中で、GIFならではの見せ方を盛り込んで効果的なクリエイティブを出してくれたのがありがたかったです。
長尺の動画と比較して、制作期間が短いので、1本目を作って得た知見を2本目に活かすといった改善施策も行いやすいのは、短尺でループするGIFならではの強みですね。
廣澤:それで言うと、動画クリエイティブも運用型にしたほうがいいと言われつつも、いざ運用していこうとなると制作費と運用費のバランスが取れないという課題に直面しがちです。当社の場合ビューティー分野のブランドを扱う場合、15秒などの短い動画であってもクオリティの低いものを出せないので、制作費がかさみ媒体費に十分な費用を捻出することが難しいということが多々あります。
GIFMAGAZINEに作っていただいたときは、通常の動画制作と同規模の予算内で、すばやく優れたクオリティの動画を複数制作できるので、動画運用の入り口としてもGIF動画は魅力的な選択肢ですね。