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若者向けブランドリフト施策に新星登場! GIF動画活用最前線(PR)

「新しくって懐かしい」GIF動画で若年層をつかめ 花王「泡カラー」キャンペーンの成功要因に迫る

 これまでブランディングと言えばCMをはじめとしたマス広告中心の施策だったが、近年Web動画のブランディング活用が急速に進んでいる。とはいえ、オンライン上にコンテンツがあふれる中、埋没せずに生活者のブランドリフトを促すことは簡単ではない。そうした中で、花王は「リーゼ プリティア泡カラー」のキャンペーンのコアに「GIF動画」を採用して、若年層への訴求に成功している。この取り組みを担う同社の松浦知佳氏、廣澤祐氏に、キャンペーン設計の背景やその成功要因を取材した。

ブランドメッセージを若年層の関心ごとと結びつけるには

――今日は「リーゼ プリティア泡カラー」のキャンペーンに携わっているお二人に、Web動画についての取り組みを中心にお話をうかがってまいります。まずは、ご担当業務について教えてください。

松浦:私はヘアケア事業グループに所属しており、ヘアカラーブランド「リーゼ プリティア」の広告プラニング・クリエイティブ企画から店頭配荷にいたるまでの広告・販促領域のマーケティング全般を担当しています。

廣澤:私はデジタルマーケティングセンター、コミュニケーション企画室に所属しています。デジタルマーケティングセンターには、データサイエンス部門、マーケティングプラットフォーム構築の部門もあるのですが、私はアドサイドの企画を担う部門に所属しています。松浦のような各ブランド担当に対して、デジタル周りの手法を提案する立場ですね。

左から、花王株式会社 デジタルマーケティングセンター コミュニケーション企画室 廣澤祐氏 スキンケア・ヘアケア事業ユニット ヘアケア事業グループ ヘアメイクグループ 松浦知佳氏
左から、花王株式会社 デジタルマーケティングセンター コミュニケーション企画室 廣澤祐氏
花王株式会社 スキンケア・ヘアケア事業ユニット ヘアケア事業グループ ヘアメイクグループ 松浦知佳氏

――今回キャンペーンを行っている「リーゼ プリティア泡カラー」についてご紹介ください。

松浦:「リーゼ プリティア泡カラー」は、乳液タイプが主流のヘアカラー市場で初の泡タイプとして2007年に発売しました。「泡タイプ」だからこその「根本も毛先もムラなくキレイに染められる」という特性と豊富なカラーバリエーションが好評でシェア1位を維持しています。

 ヘアカラートレンドは年々変化しますが、最近は欧米への憧れが顕著で、日本人特有の髪の赤味や黄味を抑えつつ透け感を出すのが流行りです。そこで今年2月に「外国人風ヘアカラー」をキーワードに、新商品「ヨーロピアンシリーズ」を出しました。これまでお客様には毎年新色提案をしてきたのですが、シリーズ提案というのは新しい試みとなります。

 「リーゼ プリティア」のメインターゲット層は、10代から20代のいわゆるミレニアル世代になるのですが、趣味嗜好が多様化している中、“外国人風ヘアカラー”が“自宅で簡単にできる”というブランドメッセージを彼女たちの関心ごとに結びつけて伝えるにはどうすればいいのか、試行錯誤を続けています。

コンテンツが乱立する中でいかに存在感を出せるか

――「リーゼ プリティア」のブランディングを目的としたマーケティング施策について、現状どのような取り組みをされていますか。

松浦:花王では自社で培ってきたブランドを強みに、認知拡大の広告手法としてテレビCMなどマス広告を中心に活用してきました。現在もそれは変わりませんが、若者層のメディア環境の変化にともない、Webでのリーチの重要性が日に日に大きくなってきていることも事実です。

 そこで、近年「リーゼ プリティア」ではブランディングにおいてもネット広告、Web動画を使った広告手法を重視するようになっています。しかし、生活者が触れるデジタルコンテンツの数は急増する一方です。Web動画においてもどうやって埋もれずに存在感を発揮するコンテンツを提供できるかが勝負になってきます。

 そうした状況下で、「ヨーロピアンシリーズ」の発売にあたってはテレビCMを使わず、GIFMAGAZINEの協力のもと、GIF動画を主軸に据えたコミュニケーションプランを練りました。

――ブランドメッセージを伝える手法としてGIF動画を選択した理由はどのあたりにあるのでしょうか。

松浦:最近、動画コンテンツの尺がどんどん短くなってきていますよね。昔はテレビ番組を時間単位で消費していましたが、YouTubeやニコニコ動画が台頭して数十分単位の動画が人気を集め、最近は「C CHANNEL」や「DELISH KITCHEN」のような数分の動画が流行しています。

 人間の注視時間が短くなっているという調査結果もありますし、短い時間でいかに注視してもらえるかが重要になってきているように感じます。そういう意味で、GIF動画は短い尺で、自動ループで常に再生されるという特徴があり、短い時間で伝えたいことを伝えることに長けた手法ではないでしょうか。

廣澤:GIF動画に取り組んだ一番の理由は、新シリーズの「外国人風ヘアカラー」というコンセプト、キーワードを一番端的に伝えられるメディアではないか、と考えたことにあります。

 また「リーゼ プリティア」では2015年頃から、コスプレ好きや“2.5次元女子”といわれるような若年女性たちにターゲットをしぼってTwitter中心の広告コミュニケーションを行い、まず特定の強力な趣味関心がある層の中でアテンションを獲得し、彼女たちの発信力を活かしてさらに広い層に波及させようというチャレンジを重ねてきました。

 彼女たちと同じように、GIF動画を好きな人たちも、数は少ないものの特定の強力な興味関心のあるセグメントだと考えられます。そこで、GIFMAGAZINEにGIF動画制作を依頼し、「GIFMAGAZINE」というGIF動画のファンが集まるメディアにGIF動画を露出することで、GIF動画ファンたちがインフルエンサーとなって「リーゼ プリティア」の露出を拡げてくれるのではという狙いもありました。

 同時に、GIF動画ファン以外へのリーチも確保するために、FacebookやInstagramといったSNS広告にも取り組んでいるのですが、そのクリエイティブにGIFMAGAZINEが制作したGIF動画を流用できるというのは魅力的でしたね。

GIF活用で、ブランド目線ではなく生活者目線のクリエイティブに

――そもそも、どういった経緯でGIF動画のことを知ったのですか。

廣澤:「リーゼ プリティア」より前に、スキンケアブランド「キュレル」でGIF動画を使った施策を実践していました。GIFMAGAZINEはブランド担当者の考えるブランドメッセージに沿ったクリエイティブ構成案をタイムリーに出してくれたのが好印象でした。実施した結果広告の配信効果も高かったので、プリティアにも転用できるのではないかと考えたんです。

 実は今回の取り組み前の「リーゼ プリティア」の施策で、静止画バナーを用いてSNS広告を配信してブランドリフト調査を行ったところ、クリックはあったのですが認知リフトに大きくはつながらなかったんです。それで他に認知リフトに効く施策がないかと探していたのも、GIF動画に取り組んだ動機ですね。

松浦:前の施策では、ブランドサイトで使用したキービジュアルにメーカーメッセージを載せたバナーを出していました。一方的にブランドが伝えたいことを伝えるだけではいけないなと痛感したので、今回はターゲットが自然に受け容れてくれるクリエイティブを作るために、GIF動画にチャレンジしたんです。

伝える要素は、一つにしぼる

――GIF動画を制作する上で、通常のWeb動画やテレビCMとの違いはありましたか。

松浦:テレビかWebかを問わず、ふだん動画を作るときは、広告代理店のクリエイティブディレクターや営業の方に向けてオリエンをして、構成案・絵コンテを作成して……と主に広告代理店のクリエイティブディレクターの方が仕切っていきます。たとえば、クリエイターのキャスティングもクリエイティブディレクター主導のことが多い。

 ところが、GIFMAGAIZINEとの取り組みの場合、メニューによっては私たち広告主の側でクリエイターから提案をもらえるのが新鮮でした。4本の動画を作ったのですが、クリエイターを分けることで、全然違うトンマナのものを作ることができたのも良かったです。

廣澤:ブリーフィングのあり方も変わったと思っています。デジタルの世界って動画の枠組みでいうと時間の制約がないので、伝えたいことを伝えようとしたらいくらでも長くできるんですよね。なので、Web動画は伝えたいことを詰め込み過ぎて、気づいたら長尺になっていたということが起こりがちです。

 今回オリエンの中で、伝える要素を明確に、一つにしぼるというのは広告主として新鮮な経験だったし、生活者に届くクリエイティブを作るための方法論として今後活かしていけるのではないかと感じています。

短尺のGIF動画は「クリエイティブの運用」に最適

松浦:ブリーフを提出した後は、GIFMAGAZINEから見せ方の提案をいただき、広告主側が必要な素材を用意していく流れでしたが、全体を通してスピード感がすごいなと。短尺動画ということもあり、構成案から最終的なアウトプットが明瞭にイメージできるので、コミュニケーションの精度も高かったです。

 ヘアカラー商材は医薬部外品ということもあり、使えない表現や注意表記義務など規制も多いのですが、こちらの希望には柔軟に対応していただきましたし、使える表現の幅が狭まっている中で、GIFならではの見せ方を盛り込んで効果的なクリエイティブを出してくれたのがありがたかったです。

 長尺の動画と比較して、制作期間が短いので、1本目を作って得た知見を2本目に活かすといった改善施策も行いやすいのは、短尺でループするGIFならではの強みですね。

廣澤:それで言うと、動画クリエイティブも運用型にしたほうがいいと言われつつも、いざ運用していこうとなると制作費と運用費のバランスが取れないという課題に直面しがちです。当社の場合ビューティー分野のブランドを扱う場合、15秒などの短い動画であってもクオリティの低いものを出せないので、制作費がかさみ媒体費に十分な費用を捻出することが難しいということが多々あります。

 GIFMAGAZINEに作っていただいたときは、通常の動画制作と同規模の予算内で、すばやく優れたクオリティの動画を複数制作できるので、動画運用の入り口としてもGIF動画は魅力的な選択肢ですね。

「懐かしくって、斬新」GIF独特のポジションが若年層の心をつかむ

――GIF動画はなぜミレニアル世代に刺さるのでしょうか。

廣澤:GIF自体は昔からある手法です。ただデジタル化が進み過ぎた世の中で、逆に昔ながらのレトロなものが良いと思われる気運があるように感じています。他方で、GIFに触れたことがない人にとっては目新しいものとして映ります。GIF動画にある懐かしさと斬新さの両側面が若年層の心をつかむのでしょうね。

――最近ではGIFコンテンツを提供し人気を集めるクリエイターはGIFer(ジファー)と呼ばれ、今後はインフルエンサー的な側面での活用にも注目が集まっていきそうです。そういう意味でGIFerへ期待することはありますか。

廣澤:インフルエンサーが大事にしている価値観とブランドサイドの持つ信念がリンクすれば、理想的なインフルエンサーマーケティングが実現します。なのでGIFerが持っているクリエイティブの感覚が「リーゼ プリティア」のトンマナや伝えたいメッセージに合うようであれば協力していきたいです。

――今後の展望について教えてください。

松浦:ブランドとして伝えたいメッセージは変わりませんが、見ている人の趣味嗜好が多様化している中、GIFerの方々に協力してもらい色々な観点から伝えたいメッセージを表現していくことで、「リーゼ プリティア」のターゲット層にマッチするコンテンツが提供できたら良いと思います。

 「リーゼ プリティア」ブランドとしては今後も“女性の可愛くなりたい”を応援できるような商品を作っていきたいですし、事業間の連携も今後強めていきたいと考えていますので、今回のように商品を提案するタイミングでまた一緒に取り組めればと思います。

廣澤:「GIFMAGAZINE」に集まっている人たち、GIF動画を楽しんでいる人たちのインサイトがどういうものか気になっています。

 長い動画を見るのに疲れてしまったとか、情報カオスの中で情報疲れをしているからGIFぐらい端的なコンテンツが良いということなら、多分それは世の中の声だと思いますし、はたまたGIFにしかない魅力が別であるのかもしれない。GIFMAGAIZINEとのお取り組みを通じて、その部分を発見したいです。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/09/26 09:00 https://markezine.jp/article/detail/26961