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ROIを問われる時代のVRの作り方 VRの強みと弱みを知り、成果につながる「体験設計」を企画しよう


購買に寄与するVRを活用したプロモーション事例

 VRは体験を通した「認知や理解促進」を得意とします。企業としては、当然、商品やサービスの理解を促進した後には、購入などのアクションを体験者に求めたくなります。しかし、VRはその圧倒的なバーチャル体験から、購入への導線設計が非常に難しいという課題を持っているのです。たとえば、購入というアクションはVRデバイスを外してからでないと難しいことや、バーチャル世界から現実に戻ってきた時の心理的なギャップ、体験スペースと販売スペースを同じ場所にしづらい、などがその理由です。

 そうした難題を見事にクリアにしている事例がありますのでご紹介します。

 ファッションブランドTARA JARMONが行ったVRを活用したプロモーション施策です。このプロモーションでは、ポップアップストアの入り口近くにある階段から下りた地下1階にVRギャラリーを併設しました。

 このVRギャラリーは懐中電灯で照らされないと見えないほどの暗闇。そこで体験するVRコンテンツは最後にキラキラした星の中を疾走して終わります。そして、体験が終わりゴーグルを外すと体験前には真っ暗だったVRギャラリーが、まるでVRの世界が現実になったかのようにキラキラした空間に変わっているという演出です。

 そのままエレベーターで最上階へ移動すると、コンテンツ内にでてきた様々な商品を手に取ることができ、気に入れば購入できるという導線設計となっていました。

 今後は、このようにVRコンテンツの中身だけではなく、全体的な体験設計を考えることで、売り上げに直結する施策を企画することも可能となってくるのではないでしょうか。

ビジネスの現場でのVRコンテンツ活用

 最後に、プロモーションとしてのVRコンテンツ利用もさることながら、昨今ビジネスの現場でもVRを上手く活用するケースが増えてきているので、ご紹介したいと思います。

 一つ目の活用例は、「採用」です。毎年一斉に行われる新卒採用。しかし地方に住む学生からすれば、新幹線や飛行機に乗らなければ都心で行われる会社説明会や会社見学会などに参加できず、金銭的にも距離的にもハードルが高いのが実情です。

 また企業は、それら説明会で会社の業務や文化、ファシリティを伝えるように努力しますが、口頭による説明や写真と動画だけでは伝えきれない場合も多々あります。この問題を解決するためにVRが有効活用できないかという動きがあるのです。

 このように、楽天は、360度のオフィスツアー動画をYouTubeに公開しています。会社にとって都合良く切り取られたフレームがある動画よりも、360度見渡せる動画のほうがそれぞれの視点で知りたい情報を得ることができ、ユーザーの利益につながります。また、Webに公開しているため、ユーザーがどこに住んでいても場所に関係なくバーチャル上でオフィスツアーに参加することができるのです。

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研修にもVRを導入

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この記事の著者

松葉 忍(マツバ シノブ)

クリエイティブテクノロジスト/VRプランナー。ファッションデザイナーからSEへ転身。その後Webディレクターへ。よりクリエイティブな環境を求め、2011年アマナへ入社。Web制作を中心としたプロモーションの企画、制作に携わる。2015年にアマナVRチームを立ち上げ。以降VRコンテンツにおける企画・制作を担当。201...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/01/12 16:27 https://markezine.jp/article/detail/27049

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