フォトジェニックを作る空間戦略
続いてご紹介する戦略は、空間戦略です。商品自体のデザインを変えるのではなくポップアップストアやイベントなどフォトジェニックな体験ができる空間を用意して、ユーザーの投稿を促す企画も増えています。
例えば、森永乳業のロングセラー商品であるアイスの「ピノ」は、若者世代への商品訴求を強化するためピノフォンデュカフェという体験型のカフェ企画を実施。2年間で10万人以上の来場者を集めSNSでの話題性も高め売上を伸ばしました。

この企画では、チョコレートでコーティングされたピノという完成品ではなく、アイスを自由にトッピングしオリジナルのピノを体験してもらうという内容となっており、たくさんの若い女の子たちがInstagram上にも投稿していました。
他にも、神奈川県平塚市はシティプロモーションの一環として2016年に湘南ベルマーレひらつかビーチパークと湘南平に、市内出身の気鋭のペインターとコラボしてフォトスポットを設置しました。この取り組みは多くのメディアでも取り上げられましたが、Instagramにも多くの投稿を集めました、
その投稿を通して近隣住民だけではなく県外からも多くの方が足を運んでくれたと言います。市内や、県内程度の認知度の観光スポットもフォトジェニックな空間を演出することで多くの人にアプローチができるのです。

ゲーミフィケーションでユーザーを巻き込む
最後にご紹介するのは、フォトコンテストなどキャンペーン企画で投稿促進を行うゲーミフィケーションを使った投稿促進戦略です。私が所属するテテマーチも2015年末よりInstagram APIを利用したフォトコンテスト形式のキャンペーンツール「CAMPiN」を提供していますが、今までこのようなキャンペーンを通したプロモーションを200件以上手がけてきました。
Instagram上で開催するフォトコンテストは、ユーザー投稿を促進させる施策としては比較的ライトに実施できます。ですが、フォトコンテストを実施する際に、どのような目的で実施するのかはよく検討する必要があります。
今回の連載でテーマにしている、ユーザー投稿を通して口コミ的に商品やサービスの魅力を拡散させたい場合に考えなくてはいけないのは、以下のような4つのポイントです。

この4つのポイントを踏まえている事例に、ウォーターサーバーを提供するクリクラのキャンペーンがあります。同キャンペーンでは、同社製品のオーナー向けに生活に溶け込むサーバーや、DIYでおしゃれにデコレーションしたサーバーなどの画像を「#クリクラのある暮らし」をつけて投稿する企画を実施しています。

この企画では、オーナーだけが参加対象となるため、オーナーへのチラシ配布を行いながら、オウンドメディアからの告知を実施しました。また企画の目的としては、クリクラオーナーの投稿を通してオーナーの周りの方々へクリクラのある暮らしをポジティブに訴求することで、不特定多数の参加者を募る企画ではないため爆発的な投稿数とはなっていません。
ただ、オーナーの第3者発信による商品訴求が期待できます。また、参加オーナーには魅力的なプレゼントが当たる企画となっており、オーナーの顧客満足度向上も期待できます。
このような既存オーナーを対象とした企画を継続して実施している事例として、キッズアパレルブランドのアプレレクールさんをご紹介します。こちらのブランドでは毎月テーマを変えてフォトコンテストを開催することで、アクティブなファン獲得を目指しています。
取り組みは毎回テーマを変えて実施していますが、「#アプレキッズ」というオリジナルハッシュタグを軸に展開されており、毎月#アプレキッズと、#夏コーデや#秋色コーデなどの組み合わせで企画することでオリジナルハッシュタグの「#アプレキッズ」には自ブランドのコーデがどんどんストックされていくという仕組みになっています。他にも様々な目的に合わせてフォトコンテストキャンペーンを企画することで、ユーザーとのコミュニケーションを図りつつ、ユーザー投稿を促進することができます。
