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顧客時間って「私」が考えついたものでしたっけ?

2017/10/26 09:00

 奥谷孝司さんによる「マーケティング入門」連載がついにスタートします。本シリーズでは「実務と学術の融合」をライフワークにされている奥谷さんが、今注目すべき海外のマーケティング論文をわかりやすく解説し、実際のビジネスに活かせるヒントを紹介します。世界のマーケティング学者がいま考えていることに触れれば、あなたも予想外のインスピレーションに打たれること間違いなしです。

みなさんは論文を読んでいますか?

 今回より本連載を担当しますオイシックスドット大地株式会社執行役員 統合マーケティング部 部長 Chief Omni-Channel Officerの奥谷孝司です。

 この連載では筆者が注目しているオムニチャネル戦略や、デジタル時代の消費者行動、マーケティング戦略を国内、海外のマーケティング関連の論文のエッセンスを紹介しながら、いかに現場のマーケティング戦略に生かしていくかを読者の皆さまと共に考えていくことを目的にしております。

 そもそも、みなさん論文を読むことはありますでしょうか?ましてや、英語で書かれた論文を読むことは、筆者のようなよほどのモノ好きか、ビジネススクールに通う社会人くらいではないでしょうか?

 小生は現在一橋大学大学院商学研究科博士後期課程に所属しながら、実務と学術の融合を実現するべく、多くの論文、先行研究に触れることが多くあります。学術界において世界の学者、研究者が何を研究し、どこまでの知見を得ているのかを知ることは自身の研究の独自性を担保するためにも必要不可欠な行為です。

 私がどんなに「これは新しい発見だ!」、「自分が考案した考え方がユニークだ」と考えたところでその証明をするためには必ず先行研究、論文に当たる必要があり、本当にそう言えるのかの妥当性を証明しなくてはなりません。このプロセスを経ずに研究の独自性を声高に叫んだところで、誰も相手にしてくれません。

 ですので、学術研究において先人が得ている知見を把握することは学術の基本であり、このプロセスを経ない研究者はいないのです。まさに研究とは、研究の上にさらに研究という地層を重ねて、新しい知の地層を生み出していく非常に地味な、でも楽しい作業なのです。

 ちょっと、堅苦しい話になってしまいましたが、この先行研究をしっかりと押さえるという行為(筆者にとってはオムニチャネル時代の消費者行動や、ブランドへのエンゲージメント形成過程)を実務家として客観視してみると仕事に役立つ研究がたくさんあります。例えば以下のような疑問に答えや示唆、ヒントが隠れている論文なら読んでみたいと思いませんか?

  • 有機食品のユーザーはどんな人たち?勘と経験に頼らないセグメント分析とは?
  • 人はなぜモバイル決済を使うのか・使わないのか? アーリー/レイトアダプターの攻め方の違い
  • オムニチャネル戦略の真実 「チャネル間の共食い」は本当に起きないのか?
  • Airbnbではレビュースコアやコメントよりもホストの写真が重要? P2P(Peer to Peer)型ECにおける信頼醸成のメカニズム
  • オムニチャネルを成功させるために必要な組織戦略とは?

 このような疑問に対して世界のマーケティング関係の研究者達は様々な知見と示唆を論文という表現手法を使って伝えてくれています。

 それなら読んでも良いかもと思う人もいらっしゃると思いますが、多くの方にとっては大変だと思います。それを微力な筆者ではありますが、海外論文から得られる様々な知見やヒントを紹介しながら、自身のライフワークである「実務と学術の融合」を、この場を借りて行い、みなさんに少しでも貢献したいと思います。

 小生の能力では世界の素晴らしい研究者達の論文からエッセンスを正しく抽出することは難しいかもしれません。解釈の違いに関してご指摘、修正を求められるかもしれませんが、この場ではなるべく実務家の方に、仕事に活かせる内容、ポイントに特化してわかりやすくお伝えしていきたいと思います。何回続くかわかりませんが、お付き合いくださいませ。

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。



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