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世界のマーケティング学者から学ぶ「勝てる」マーケティング思考

なぜ、オムニチャネルの前に、買物価値なのか 「買物の快楽性」を問い続けよう

 奥谷孝司さんによる「マーケティング入門」連載第5回をお届けします。本シリーズでは「実務と学術の融合」をライフワークにされている奥谷さんが、今注目すべき海外のマーケティング論文をわかりやすく解説し、実際のビジネスに活かせるヒントを紹介。今回はついに、奥谷さんの専門分野でもある「オムニチャネル」を題材にします。

「買物価値」を構成する3つの要素

  みなさんにとって買物とはどんな意味があるのでしょうか? 実は私のビジネススクール時代の修士論文テーマは「ファストファッション業界の店舗における買物価値研究」というものでした(余談ですが、その後ネットストアの担当になるのです……)。当たり前かもしれませんが、買物には意味があるのです。

  最新の研究を紐解くと買物価値には3つの構成要素があるようです。まず、「快楽的買物価値」というものがあります。

 人には自分の好きな洋服を買いたい、化粧品を買って綺麗になりたい、お金を貯めて高級車を買いたいといった明確な欲求に基づく買物をすることがあります。このような買物には一般的に「快楽的」な価値があると言われます。

 純粋に好きな店舗に行くと気持ちが高まる、日々の嫌なことも忘れられるなんてこともありますよね。それらも店舗が提供する快楽性です。買いたいという思い、店舗が楽しいという思いも買物価値のひとつである快楽性からきているのです。

  また、逆に、欲しいものがネットストアや店舗で最短、最速で買えれば良い(たとえば日用品の買物)、必要なものがしっかり品ぞろえとして用意されていれば良い、という合理的な価値もありますね。これを「合理的(功利的)買物価値」と呼びます。

 買物にお付き合いするのが苦手な男性も多いですし、忙しい現代人にとって常に買物は楽しいわけではなく、必要に迫られて買物をしている人もいますね。忙しい1日の始まりに、コンビニで必要な朝食を探す買物に快楽性は少ないと言えるでしょう。

  最後に、「社会的買物価値」があります。これは前回のシェアリング・エコノミーや前々回のエンゲージメントの際にも触れましたが、お客様にはお店やネットストア、商品、ブランドへの帰属意識や、自身のライフスタイルとの相性、自分が賢い消費者でありたいというニーズがあります。

 オンライン、オフラインを問わず、好きなお店やネットストア、ブランドとのつながりに価値を見出し、そのことに意味と意義を感じる。このような価値を社会的買物価値と表現します。

 みなさんの中にも、ある特定の商品購入や所有が自身のライフタイルの表現につながることに満足したり、社会貢献につながるといったこだわり消費を大切にしている人も多いとも思います。もしかすると「ふるさと納税」を活用した買物は社会的買物価値が高そうですよね。この価値はこれからの消費者に対してマーケティングしていく上で大変重要になってくると思います。

  以上の3つの価値をベースに、フランスのレンヌビジネススクール教授のヒューレ先生等が「Omni-Channel Shopping Value」=「オムニチャネル買物価値」研究しているのです。

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この記事の著者

奥谷 孝司(オクタニ タカシ)

オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員COCO(Chief Omni-Channel Officer) 株式会社顧客時間 共同CEO 取締役 株式会社イー・ロジット 社外取締役 株式会社Engagement Commerce Lab. 代表取締役1997年良品計画入社。3年の店舗経験の後、取引先の商社に出向しドイツ駐在。家具、雑貨関連の商品開発や貿易業務に従事。帰国後、海外のプロダクトデザイナーとのコラボレーションを手掛ける「World MUJ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/03/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/28087

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