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エンゲージメントって、なんですか?

2018/01/16 07:00

 奥谷孝司さんによる「マーケティング入門」連載第三回をお届けします。本シリーズでは「実務と学術の融合」をライフワークにされている奥谷さんが、今注目すべき海外のマーケティング論文をわかりやすく解説し、実際のビジネスに活かせるヒントを紹介。今回は、わかるようでわからない概念「エンゲージメント」を掘り下げていきます。

売上が上がれば良いよね?

 みなさん、こんにちは。また少し時間が空きましたが、第3回目の連載です。今回はお客様との絆作り=エンゲージメントについて考えていきたいと思います。

 皆さんは商いを通してお客様に満足を提供出来ていますか? お客様との永続的な関係を構築できていますか? 「うちの会社は業界シェアNo.1。売上は順調に伸びている。だからお客様は満足しているに違いない」そう言えるだけの立派な企業にお勤めの方も多いと思います。

 しかし、エンゲージメントに関する様々な論文を読んでみたり、最近のお客様の買物行動を見ていると「お客様は満足しているから、買っている」ともいえない現象もちらほら見受けられます。どうもお客様は必ずしも「満足しているから買っている」わけでも、「買っているから満足している」わけでもないようです。

 このような企業からは見えにくいお客様の心の内を考察する事例として、まずはスターバックスさんを題材に話を進めていきたいと思います。

みなさんはスターバックスさんが好きですか?

 筆者は先般、東洋経済オンラインに掲載された「成長が続くスタバが「営業減益」になった理由」を読んでいた。上場廃止から2年を経た今も決算公告を開示する優良企業スターバックスコーヒージャパン。日本のカフェチェーン業界のトップを走る。

 同記事によると、今期の売上高は1709億円(前期比6.4%増)と増収。営業利益は143億円(同4.2%減)で減益。しかし、純利益は86億円(前期比11.9%増)と過去最高とのこと。基本経営数値は順調に見える。

 さらに年間約80店規模の出店を続け、主力商品である氷菓飲料フラペチーノの売れ行きが順調との記述もある。近年競争が激化するこの業界で、二番手以下のドトールコーヒーやコメダ珈琲との売上の差はまだ大きい。あとはマクドナルドさんに追いつき、追い越せ、といった感じだ。

 私はスターバックスさんのヘビーユーザーで、最近日本でも始まったスタバアプリをダウンロードし、毎回モバイルペイメントを活用してコーヒーを週に2、3回は購入している。

 ただこの記事にもある通り、スターバックスの顧客満足度が下がっているというのだ。日本生産性本部 サービス産業生産性協議会が毎年調査している顧客満足度調査、「JCSI(日本版顧客満足度指数)」の調査結果によると2017 年カフェ部門は、ドトールコーヒーが3年連続で顧客満足1位なのだそうだ。

 スターバックスは、顧客期待、知覚品質、推奨意向では1位なものの、顧客満足ではベスト4にさえ載っていない。業界首位でもお客様満足度No.1は獲得出来ていないわけだ。

 また、この調査ではいろんな業界の顧客満足度1位を調査している。コンビニ業界ではセイコーマートさん、シティホテル業界では帝国ホテルさん、ビジネスホテル業界ではリッチモンドホテルさん、飲食店業界ではリンガーハットさんがトップとのこと。

 馴染みのない店舗もあるけれど、評価項目ごとに見ていると、筆者も「そういえば最近よく見かける」、「最近リピートしている」なんて企業がいくつか登場するので、思わず「そうそう!このお店最近良いよね!」なんて心の中でつぶやいてしまう。

 たとえば最近TVCMでもよく見かけ、CRMアプリも導入している丸亀製麺さんは顧客満足で2位。そのほかの指標でも上位に食い込んでいる。私見ではあるが、最近の丸亀製麺さんを見ているとフードメニューも充実してきて、デジタルマーケティングにも挑戦しており、お客様との繋がりが高まっているように思う。

 当たり前のことだが、お客様は業界1位だからという理由だけでお店を選ぶわけではない。それに、いつもは行かない、たまたま入ったお店が良いサービス体験、美味しい食事を提供してくれると、自然と人に伝えたくなる。新たな店舗を発見したいニーズもある。毎回同じ店に行っていると飽きも来る。

 たしかに私のようなスタバーユーザーは結構な時間(この記事もスターバックスさんでコーヒーを飲みながら書いております!)店舗に長居して、会社案内にも記載されているストアコンセプト「サードプレイス」を満喫しているわけだが、その結果混雑していて他のお客様が座れないとか、値段が高いといったことが少しずつ満足度を下げているのかもしれない。

 顧客心理は移ろいやすい。人気になると売上が上がるのと同時に、「なんだか混んでいるな」、「みんなが行くようになったから、私は行くのをやめよう」と新たな好きなお店を探して、違うところに向かっていくこともありうる。

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