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シェアリングエコノミーはコラボレーション消費である

2018/02/14 07:00

 奥谷孝司さんによる「マーケティング入門」連載第4回をお届けします。本シリーズでは「実務と学術の融合」をライフワークにされている奥谷さんが、今注目すべき海外のマーケティング論文をわかりやすく解説し、実際のビジネスに活かせるヒントを紹介。今回は、あらゆる既存産業をゆるがしているシェアリングエコノミーを題材にします。

売った商品でお客様がサービスを始めてしまう?

 みなさん、こんにちは。今年もよろしくお願いいたします。第4回目の連載です。今回はシェアリング・エコノミーについて考えていきたいと思います。皆さんはシェアリング・エコノミーという言葉からどのようなサービスを思い出されるでしょうか?

 自らを「世界中のユニークな宿泊施設をネットや携帯やタブレットで掲載・発見・予約できる信頼性の高いコミュニティー・マーケットプレイス」と呼ぶ民泊斡旋業Airbnbや、日本では民泊の法改正と対照的に、法改正も進まず苦戦している、世界的に有名な「ライドシェアサービス」を展開しているUBERが思い浮かぶのではないでしょうか。

 みなさんもご存知の通り、UBERは一般のドライバーとライドを必要としている顧客をマッチングさせることで、いわゆる一般の人にタクシー業が営めるインフラを提供。

 今や評価額が500億ドル、世界68ヶ国に進出を果たし、タクシー業界のビジネスモデルを揺るがす存在となっています。似ているビジネスモデルとして、中国のシェア自転車大手、摩拝単車(モバイク)などが最近に日本にも参入してきました。この市場は有望な感じがしますよね。

 総務省平成27年度情報通信白書(以下、情報通信白書)は「シェアリング・エコノミー」を「個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービス」と定義し、「貸主は遊休資産の活用による収入、借主は所有することなく利用ができるというメリットがある」としています。

 白書には「貸し借りが成立するためには信頼関係の担保が必要」ともあります。お客様としては「使ってはみたいが、本当に大丈夫なのか」「人様のもの、他人が使ったものを使うのはなんか抵抗がある」「使ってみて失敗したらどうなるの」「期待したサービスが提供されなかったら」といった心配もつきまといます。

 前々回のモバイルペイメントの話でも解説した通り、お客様はいつも未体験の商品やサービスに対して「知覚品質」と「リスク」(それを使っても大丈夫か?良いものなのか?)を気にしています。

 お客様にとってシェアリング・エコノミーはいわゆる物の売買というよりは、サービスの享受にあたります。予約から、滞在(利用)、体験、そしてその体験の振り返りと、私の考え方である「顧客時間(検討→購入→使用・消費)」が比較的長く、考慮するべきことが多いように思います。

 普通に自転車を買えば、モバイクはいらない。普通にホテルを予約すれば、Airbnbはいらない。タクシーがあればUBERはいらない。オールドエコノミーの中にも、機能的には同じサービスを提供するインフラは存在します。

 しかし、今のお客様は、この新しいサービス業に、何らかの楽しみやメリットを感じて、新しい消費体験を始めています。その証拠にこの新しいサービス業界はお客様の支持を確実に受けて、マーケットを伸ばそうとしています。

 情報通信白書も言及しているPwCが発行しているシェアリング・エコノミーに関する調査によると、2013年に約150億ドルの市場規模が2025年には約3,350億ドル規模に成長する見込みだそうです。

 このような現象を我々マーケターはどのように捉えればよいのでしょうか? 企業が提供するものやサービスの良さを伝え、提供するだけでは、どうもお客様は満足しなくなってきているようです。「売れば勝ち!」と思ったら、お客様が購入した商品やサービスでビジネスやサービスを提供してしまう! このままでは色々な商品やサービスがシェアリング・エコノミー化しそうな勢いです。

 今回は旅行業のシェリングエコノミーAirbnbを事例の中心として、お客様はこのようなサービスをどのように理解し、利用しているのか、利用する要因は何なのか、といった疑問を海外論文に言及しながら、考察していきたいと思います。

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