立ち上げ期から劇的に変化するマーケティング
MarkeZine編集部(以下、MZ):今回の取材ではレシピ動画サービス「クラシル」のマーケティング責任者である小平さんにお話をお伺いします。まず、これまでどのような歩みでサービスを拡大してきたのか教えてください。
小平:クラシルは2016年2月からスタートしました。当時は分散型動画が流行っていた時期で、その波に乗ってSNS上で動画を配信し、レシピ動画サービスを伸ばしてきました。具体的にはFacebook、Instagram、Twitterそれぞれに、最適化した動画を配信していて、ユーザーへの認知獲得を続けてきました。
しかしながらサービス開始当初から、SNSのプラットフォーム上での戦いにはサービス成長の限界があるという考えがあり、自社アプリのリリースを念頭において運営をしていました。それで2016年5月に、アプリをリリースし、現在はアプリを主軸にサービスを運営しております。
MZ:小平さんはどういった業務を担当されているのでしょうか。
小平:私はマーケティング責任者として、オンライン広告からTVCMといったマス広告まで幅広く見ています。オンライン広告はFacebookやTwitterなどのSNS、Googleなどの運用型広告を中心にオペレーションをし、TVCMはプランニングから携わっています。
MZ:立ち上げ期からこれまでで施策の幅もかなり広くなったと思いますが、それに合わせてKPIも変化していますか。
小平:そうですね。アプリのリリース当初はユーザーの獲得数をKPIにオンライン広告を運用していました。その後、TVCMの段階では認知率の向上なども計測しています。
クラシルにとってに欠かせない、デジタルマーケティング施策は?
MZ:クラシルのオンライン広告などデジタル上の施策で重要だと思うものはありますか。
小平:広告出稿量が多いことから、クリエイティブを常に変えていく運用が大切になってきます。広告運用を始めた頃から、1,000本を超える動画を自社で制作できる体制がありました。代理店を通さず、すべてインハウスでクリエイティブの制作から広告運用まで行えるため、弊社のマーケティングにおける推進力の源泉ともいえます。
また、私たちの特色として、クラシルで実際に配信している動画をそのまま広告素材として出稿できる点があります。あくまでクラシルのコンテンツである動画を見せるということから大きくブレずに、広告としてではなくコンテンツとしてユーザーに消費され、獲得につながるような訴求を目指しています。
実際、インフィード広告で動画のクリエイティブを配信しているのですが、リーチした人がコンテンツとして消費した結果、広告の投稿にいいねやシェアも必然的につき、更に自然にリーチが伸びていく流れが起きています。そのため、広告にもかかわらず1投稿につくリアクションが数千を超えるシェアになったり、いいね数が数万を超えたりします。その結果、最終的なCPIもかなり低く抑えることができています。
その上、コンテンツを見て純粋に好感を持ってくださった方がインストールしているので、ダウンロードしてからの継続率も良いです。
MZ:広告でも効果を発揮するコンテンツになっているのですね。
小平:膨大なパターンの広告を出稿していく中で、効果が悪いものがあれば、すぐに変更することができます。これもインハウスの恩恵です。