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カルビーの新たなチャレンジ、動画広告の積極活用に迫る~無視させない、飽きさせない工夫とは

手が思わず止まってしまうクリエイティブに

MZ:動画を72パターン用意し、A/Bテストを繰り返していった結果、今回の数字につながったのですね。

 宮田:そうですね。また、先ほどのグラフは「飽きられなかった」というものですが、こちらは「無視されなかった」というグラフです。動画を見た時に指が止まった確率を比較したところ、1本のクリエイティブだと100impで13回ぐらいしか止まらないのに対し、今回だと100impで40回程度止まりました。

 小さな差のように思えますが、キャンペーンの規模が大きくなればなるほど、最終的な広告成果は大きく変わってきます。様々な企業と取り組みを行ってきましたが、ここまで良い数字を見たことはありません。

 実際に、マルチクリエイティブ戦略を行わずに今回のキャンペーンと同等の露出量を担保するために必要な金額を試算してみたところ、今回のキャンペーンの3倍の予算が必要だっただろうという結果になっています。

MZ:カルビーさんはこの結果を実感としてどう捉えていますか?

野堀:毎日進捗を報告していただいて、どこが良かったという話を聞いて、正直に嬉しいと感じました。ただ、1つ課題に感じたのが、流通に対するアプローチですね。

 どうしても動画広告だとターゲティングを絞る結果、公開されている実感がCMに比べると薄れてしまいます。たとえば弊社の営業が流通さんに対し、マーケティング施策をフックに商談を行うことがありますが、動画広告がどの程度流れているのか説明させるのは難しい。そこは我々で内容をかみ砕いて、社内の営業、流通さんでもわかる形にするしかないですね。

複数クリエイティブが、高い認知率をキープ

MZ:CyberBullさんは今回の事例を通じて、得られたノウハウはありましたか。

堂下:今回3つのクリエイティブを作り、その中でどのレスポンスが良いかを比較し、今後の施策に活かすという目的も別にありました。結果的には、3つともすべて効果が良かったので、今後も複数の伝え方で1つのメッセージを伝えていくことが重要なのだと感じました。

宮田:今回届けた相手が実際に商品を覚えてくれていたのかというアンケート調査も行いました。たとえば、テレビであれば100万人にリーチをしたら70万人ぐらいが認知するという数値だったのですが、ネットでどれぐらいの落ち幅が出るのか確かめたところ、90万人のリーチに対し63万人とテレビと同じレベルで認知されていたので、認知率としても良い結果となりました。

 この数字を踏まえても、マルチクリエイティブ戦略が認知率の向上に功を奏したのだと考えていますし、他のクライアントでも実践できたら良いですね。

認知から1歩先をカバーする

MZ:最後に皆さんの今後の展望を教えてください。

堂下:先ほどの野堀さんの課題として挙がった、流通さんへ説明材料となるデータを提供したいですね。流通への営業をかける時の影響力や理解しやすさなど、まだまだネット広告には課題があるのと思うので、わかりやすく売り上げにつながるということを証明できる事例を作りたいです。

宮田:棚を取る力はマス広告が強いと思っていて、ネット広告でそれができるようになるのには、正直時間がかかると思っています。ただ、商品の内容を理解してもらったり、購買の手前をサポートしたりすることはできると思っています。

 それぞれのメディアの役割を明確にしたうえで、目的を実現するプランニングを心がけたいと思います。

MZ:ありがとうございます。最後に野堀さんからもお願いします。

野堀:今年から来年にかけて、マスとWebの使い分けをよりきちんとしていこうと思っています。我々のブランドでも、新商品とロングセラー商品に分かれていて、極じゃがが前者にあたることから、本施策ではいかにターゲットにリーチして認知を上げていくかを意識しました。

 きっと来年度はブランドにおける課題も変わってきて、今度はいかに買ってもらうかになってくるかと思います。そうなった時にどうすればネット広告が寄与できるのか、CyberBullさんと考えられるといいなと思います。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/11/07 09:00 https://markezine.jp/article/detail/27325

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