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マーケと営業は上でも下でもない~「組織と人材」から考える、変化に対応し成功する企業の特徴

マーケティングと営業は上でも下でもない

 「R&Dまで管轄しているのは非常に画期的。先の図で最上位にCEOをおいているが、そこに極めて近いポジションにCMOの役割として阿部さんがいる」と川上氏。これには「CEOの理解が必ず必要」と阿部氏がコメントを加えた。

 ただ多くの企業では、マーケティング、R&D、そして営業の組織は分断している。またMAで効率的なコンバージョンが可能になっても、組織の問題でその真価が発揮されないこともある。どうすれば、理想的に連携できるのだろうか?

 庭山氏は、双方の仲が良くないというよりそもそも関係が弱い現状を踏まえつつ、「営業が『この会社には何度もアタックしたのに』とか、『この部門の部長にアポが取れたのか』と驚くようなところから案件を引き出せると、少しずつ信頼関係ができていく。経験上、1~2年すれば必ずうまく連携できるようになる」と話す。

 見込み客を啓蒙・育成して絞り込み、安定的に営業や販売代理店に供給する「デマンドセンター」をどの部署につけるべきか、という相談もよく受けるというが、その際は「マーケティングと営業は上でも下でもない、製造業でいうなら前工程と後工程。マーケターの仕事を評価するのは営業なので、それができるよう、デマンドセンターは小規模でも営業と分けたほうがいい」と答えているという。

 阿部氏も、組織のサイロ化による分断を指摘しながら、「MA、SFA、PLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)、DLM(デバイス・ライフサイクル・マネジメント)……たくさんのツールが登場してIT的につながると、組織も人もつながらざるをえない。ITサイドからの組織改善に期待している」と語る。

ツールの導入成功には、組織改編と人材流動、両方の柔軟性が必要

 ただ、ツールを使う人の側には、たとえビジネス上といえども心理や思惑があるのが難しいところだ。「うまくいっている企業は、その部分にも配慮しながら仕組みをつくっていると思う」と川上氏。成功企業の共通点について、阿部氏は欧米の企業を参考に「柔軟性、トップの熱量、顧客に見つけてもらう努力をしているか」という3点を提示する。

 特に柔軟性について、阿部氏の前職であるインテルでは毎年のように組織改編があったという。年ごとに戦略を変えるならばそれにしたがって組織も変えなければ、戦略が果たせないからだ。同時に、人材流動も当たり前に起きる。「それはある意味でダイバーシティ組織体制というハード、人材というソフトの両方において柔軟であることは不可欠」(阿部氏)。

 また庭山氏は、成功に向けて「スモールスタート」も提案する。ただし「本当に一部の部門内で終わってしまったら意味がない。“横糸”をつくれというトップからのミッションの下に始めるスモールスタートが奏功する」という。

 MAを導入してデマンドジェネレーションに着手する際、最初から大きな予算をかけて全社で取り組むのは難しいことが多い。むしろ、前述のように営業なら営業部門で閉じていたり、製品事業部ごとに研究開発から設計、工場までの縦のラインが強すぎたりすると、ツールを導入したのに有望見込み客を見つけるベースになる情報が集められないという事態にもなりかねない。「営業には『自分の顧客に触るな』、広報には『展示会で集めた名刺データは使用許可がない』といわれると進めない。これらを並行して解決していくというトップの意志が欠かせない」と庭山氏。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/11/13 11:20 https://markezine.jp/article/detail/27334

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