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第106号(2024年10月号)
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MarkeZine Day 2017 Autumn

デジタル広告市場の健全発展に向けて、今改めて考えるアドベリフィケーションが担う役割とは

 広告主、代理店は様々な課題を抱えている。適切なメディア、適切なコンテンツ、面に配信されているか? インパクトをもたらしているのか? そもそも広告は見られているのか? 「MarkeZine Day 2017 Autumn」では日本IBMの山口有希子氏、電通の富田匠氏、IASの山口武氏、がデジタル広告市場の健全発展のために何をすべきか、意見を交わした。

アドベリフィケーションへの意識、日米で時差があった理由とは

押久保:アドベリフィケーションについて、なぜ今、問題意識が高まっているのでしょうか? 今回、広告主、代理店、ツール・ベンダーのお三方にお集まりいただき、各立場からのご意見をうかがっていきたいと思います。

右から株式会社電通 データ・テクノロジーセンター データドリブントレーディング部 チーフ・プロデューサー 富田 匠氏、日本アイ・ビー・エム株式会社 マーケティング&コミュニケーションズ<br />デジタルコンテンツマーケティング&サービス 部長 山口 有希子氏、Integral Ad Science Japan株式会社 アカウント・エグゼクティブ 山口 武氏、株式会社翔泳社 MarkeZine 編集長 押久保剛
右から
株式会社電通 データ・テクノロジーセンター データドリブントレーディング部 チーフ・プロデューサー 富田 匠氏
日本アイ・ビー・エム株式会社 マーケティング&コミュニケーションズ
デジタルコンテンツマーケティング&サービス 部長 山口 有希子氏
Integral Ad Science Japan株式会社 アカウント・エグゼクティブ 山口 武氏
株式会社翔泳社 MarkeZine 編集長 押久保剛

IBM山口:グローバルカンパニーに勤めているのでよくわかるのですが、本社側では2013年、2014年にはビューアビリティがとても問題になっていました。指標が低いサイトの取引を停止するという動きをしています。ところが日本では当時、それほど話題になっていません。

 ビューアビリティに関する問題は日本でも発生していたのに問題視されなかった理由は、デジタル広告の使われ方が米国と違っていたからだと思います。米国ではブランディングにデジタル広告が当たり前のように使われています。当然、ブランドセーフティ――ブランドを毀損するような広告の出され方にはセンシティブになりますし、多くの人に知らしめたいのでビューアビリティも重視します。

 一方、日本の場合はデジタルマーケティングの獲得系で使われることが多く、コンバージョンやクリックの部分がフォーカスされてきました。そのため、ブランドセーフティやリアルなインプレッションに対する注目度が低かったのではないでしょうか。ですが、最近はかなり問題視されるようになってきたように感じています。

押久保:それはいつくらいからですか? 

IBM山口:ここ1、2年でしょうね。日本アドバタイザーズ協会の中でも、テレビCM、新聞、雑誌だけでなくデジタルも重要という流れが生まれ、デジタル環境下における広告の取引適正化と安全安心の実現を目指すデジタルメディア委員会が発足するに至りました。日本でもブランディングを担当されている方々もデジタルをかなり意識するようになっていると思います。

広告をクリックしなかった人こそ重要

押久保:電通が電通デジタルを作ったのも、その流れではないかと思うのですが、いかがですか?

富田:広告の打ち手の観点から、なぜ今なのかと考えると「従前の考え方でネット広告を打っても結局飽和している」という声と「ネット広告ってちょっと胡散臭いんじゃない?」という懸念に対するアンサーを出すためです。

 10年ほど前、私が某メディアレップでメディアプランニングをしていた際に、広告主様から「5,000万imp出てるけど、広告を目にしない。本当に出てるの?」と言われたんですね。その言葉に、結局信頼に足り得る指標はクリックなのか、と感じてしまいました。結果、「インプレッションしているかわからないけれど、クリックしてサイトに来てるから、リーチしてるよね、まあいいか」といった認識で進んでいる。それが私の肌感覚です。

 しかし、CPCやCPAといったクリックを基点とした指標で広告を評価しようとすると、打ち手が限られてくる。「リターゲティングだけやればいいじゃない」と。

 一方で、広告に接触したけれどクリックしなかった人について考えれば、自分の今のマインドに当てはまる「自分ごと化していること」への広告が出てきたら、印象には残っていて、それを後々検索していると思います。ですから、クリックしないユーザーを科学しなければ、デジタルの広告は広がらなくなるという問題意識があります。

 その点でアドベリフィケーションツールを使うと、クリックしないが広告はちゃんと露出しているユーザーの詳細な接触データが取れるので、広告をきちんと見ている人を数字で把握して科学していくうえで、代理店としても様々な場面で活用できています。

IAS山口:接触時間に関して弊社のデータによると、広告を見ている時間が長ければ長いほど、見ている回数が増えれば増えるほど、コンバージョンやブランド認知度という結果につながっています。クリックに変わるユーザーの動向を促す要素として、閲覧時間は大きいのではないでしょうか。こういったデータを見ることで、より正確にキャンペーンの効果を把握していただける状況にはなっています。

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この記事の著者

元永 知宏(モトナガ トモヒロ)

1968年、愛媛県生まれ。立教大学野球部4年時に、23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験。ぴあ、KADOKAWAなど出版社勤務を経て、フリーランスに。『本田宗一郎 夢語録』、『羽生結弦語録』(ぴあ)などを編集。2016年10月に『期待はずれのドラフト1位』(岩波ジュニア新書)を上梓した。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/11/21 08:00 https://markezine.jp/article/detail/27420

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