「セレブ」よりも「ユーチューバー」 Z世代が求めるリアルな交流
これら若年層を対象としたブランドで相次いでリアルマーケティングが打ち出された背景には、ティーンエイジャーとして台頭してきた「Z世代」の影響がある。Z世代は90年代後半以降に生まれた世代で、これまでには見られなかった「寛容」と「受け入れ」の精神を持つと言われている。
彼らは小中学生の時期に、オバマ前大統領がアフリカ系アメリカ人として初めて大統領に就任するのを目の当たりにした。また、彼らが育った時代には、これまで無視されてきた「いじめ」についても積極的に話し合われるようになり、ジェンダーに対する意識も流動的になった。彼らが個の多様性を受け入れるのも、自然な流れと言えるだろう。
Z世代はまた、セレブリティよりも「リアルな人」を好む傾向がある。生まれた時からインターネットがあり、彼らのコミュニケーションにはSNSが大きな影響を及ぼしてきた。彼らは商業的に作られたコンテンツよりも若い素人の「ユーチューバー」が自分のイニシアティブで作った動画視聴に多くの時間を費やしており、SNSによるリアルな人々との交流を好む傾向にある。

彼らがスターとして支持するのも、俳優や歌手などのセレブではなく、Smosh(スモッシュ)、PewDiePie(ピューディパイ)やKSIといったユーチューバーたち。調査会社カサンドラによる『カサンドラ・レポート』によると、Z世代の63%は「セレブよりも普通の人を使った広告がいい」と答えているという。一方、昨今はセレブ達もSNSでノーメイクの写真を載せるなど、「リアルな姿」を見せており、セレブと普通の人を隔てる垣根も低くなってきている。