「みんなちがって、みんないい」――この世界観を表現した広告が、このところコスメブランドを中心に広がっている。背景にあるのは、90年代半ば以降に生まれた「Z世代」の台頭。ソーシャルネットワーク(SNS)でアイデンティティを形成し、「違いを受け入れる」ことを重視するこの世代には、作りこまれた完璧なビューティよりもリアリティのある個性の方が受け入れられる傾向にある。
「普通の人」がコスメブランドのモデルに 多様性と個性を重視
リアリティのある個性を前面に打ち出した(写真:セフォラ)
大手化粧品店チェーン「Sephora(以下、セフォラ)」はこのほど、ホリデーシーズンのキャンペーンモデルに自社従業員を起用した。「Reach out and Gift(差し伸べ、贈ろう)」と銘打ったこのキャンペーンでは、様々なバックグラウンドを持つ北米のセフォラ社員1万1,000人の中からモデルとなる10人を選出(参考:YouTube)。サンフランシスコ支店に勤務するイスラム系移民やオレゴンで働く脱毛症の女性など、いろいろなタイプのリアルな個性を前面に打ち出した。
モデルの選出に当たって、マーケティング・アンド・ブランディングのシニア・ヴァイス・プレジデントであるデボラ・イエー氏は、「内面、外観ともに美しさの個性を表す人を慎重に選んだ」と説明。セフォラの顧客層を反映し、様々なビューティ・スタイルを集めるように意識したという。
ドラッグストア向けコスメブランドの「Wet n Wild」も、同様に「多様性」や「包含」を重視する広告を打ち出している。同社はキャンペーンの顔として、アルビノのディアンドラ・フォレスト氏やトランスジェンダーのヴァレンタイン・デ・ヒング氏、ガン治療で片足を失ったママ・カークス氏を起用。これまで、覆い隠されてきた身体的な特徴にスポットライトを当て、その個性を祝福した。
一方、ティーン向けの化粧品ブランド「COVERGIRL (カバーガール)」は、Instagramで人気のシェフ、アイーシャ・カリー氏を新商品マスカラのモデルに採用した。同ブランドで女優や歌手でない女性がモデルに選ばれたのは、今回が初めて。カリー氏は料理番組に出演したり、レシピ本を出版するプロのシェフだが、バスケットボール選手のステファン・カリー氏の妻としても知られている。妻や母親、シェフ、ビジネスウーマンとしてたくさんの顔を持ち、現代の「普通の女性」を代表するカリー氏の起用は、「誰もがモデルになる価値がある」ことを示し、多くの女性の共感を得ている。
フォロワーは520万人に上る(Instagramより)
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山本 直子(ヤマモト ナオコ)
フリーランスライター。日本、中国、マレーシア、シンガポールで証券アナリストや記者を経て、2004年よりオランダ在住。オランダの育児・生活情報やヨーロッパのITトレンドを雑誌やネットで紹介するほか、中国株関連書籍の製作にも携わる。
プロフィール:LinkedIn※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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