「ユニークな自分」をSNSでシェア ブランドよりも独自性
SNSによるコミュニケーションは、Z世代のアイデンティティ形成にも大きな影響を及ぼしている。SNSによる交流で、自分のイメージはこれまでになく「パブリック」なものになっており、彼らはいかに「ユニークな自分」を表現できるかに重きを置いている。マーケティング調査の「Millenialmarketing.com」によると、Z世代の約3分の1は自分のイメージについて「リアル」よりも「ユニーク」であることを意識しているという。
このZ世代の志向をとらえ、成功を収めた例に「Beats by Dre」のヘッドフォンキャンペーン「#showyourcolor(あなたの色を見せて)」がある。同ブランドは消費者が自分のパーソナリティを表現できるよう、いろいろなスタイルとカラーバリエーションを提供。ユーザーが自分のカラーのヘッドフォンを付けた写真をSNSでシェアするというキャンペーンを打ち出したところ、ユーザーはこぞって「ユニークな自分」をSNSにアップした。このキャンペーンで、同ブランドのFacebookファンは170万人増加。ヘッドフォンの売り上げも全米で1位を記録したという。

多くのZ世代がセルフイメージをSNSでシェアした(AdForumより)
また、カジュアル衣料ブランドの「アメリカンイーグル」は、ティーンに人気のモデルやカメラマン、女優などを起用し、「#WeAllCan(みんなできる)」と銘打ったオンラインキャンペーンを実施。「自分の個性を大事にすること」「自分らしくいること」というメッセージはZ世代の心を掴み、彼らはSNSで「私は~できる」というメッセージとともに自分の写真をシェアした。インベストメントバンクの「パイパー・ジェフリー」がこの秋、Z世代を対象に実施した調査によると、アメリカン・イーグルは衣料ブランドランキングでナイキ(23%)に次いで2位(11%)に選ばれており、ティーンのお気に入りブランドとして不動の地位を確立しつつある。

「自分らしくいること」というメッセージはZ世代の心をつかんだ(YouTubeより)
これらの成功例に見られるように、個人の違いやユニークさを大切にする世代には、個人の多様性を賞賛し、消費者がイメージ形成に参加できる形のキャンペーンが有効的となっている。ブランドを前面に押し出し、イメージを押し付けるよりも、彼らのユニークなイメージに貢献できるかどうかが成功のカギとなる。