数値は業務を細かく分解してから設定する
とはいえ、「数値化」とは具体的に何をどのような方法で行うのか。三木氏は、数値化の最も重要なポイントを「業務を細かくプロセスに分けること」だと話し、その具体的な方法を説明した。
まず、業務をプロセスで区切る境界線について、三木氏は3つの基準を挙げた。1つ目は、担当の責任者が変わる“責任分界点”。2つ目に“場所”が変化する点、3つ目に“日次・週次”の時系列ベースで分ける点だ。この3つの基準を参考に、業務のプロセスを分解する。
そして次のステップでは、分解した一つひとつのプロセスにおけるインプットとアウトプットを定義する。これにより、各プロセスの目標を設定し品質管理をしっかり行うことができるのだ。
PlanよりDoが大事! PDCAの大きな勘違い
セッションの終盤、最大のテーマである「すごいPDCA」を説明する前に、三木氏はPDCAに関して大きな勘違いをしている人が多いことに言及した。
「一般的なPDCAは、Planに重点を置きすぎています。Planはあくまで仮説であり、Do以降に労力の8割を集中させるべきです。多くのDoを同時に動かし、Check・Actionで成果を振り返りながら修正していく。この流れを私はすごいPDCAと提唱しています」(三木氏)
この点を踏まえたうえで、三木氏によるすごいPDCAの一連の流れを説明すると以下のようになる。
Plan:初めに、全体の目標を設定。その後、各プロセスにおける目標を立て、そこから逆算し日次で実行するべきことを決める。そして目標達成時に有効な方法を、できるだけ多くリストアップする。
Do:期間を定めて多くの施策を同時に動かす。複数の施策結果を並行して出すことで、季節や外部要因などの影響を図ることができる。
Check:毎日、目標と結果を振り返る。日々数字を見ておけば、月末にはどのくらいの達成度になるかを把握することができる。また目標達成が危うい場合は、どのタイミングで施策のアシストをするべきかが読めてくる。
Action:検証をもとに、毎日改善を行う。同時に複数の施策を動かしているため、おのずと優れた方法が明確になってくる。
最後に三木氏は、日々業務に追われているマーケターに向けて「一番大事なのは、新しいチャレンジをすること。同じことばかり続けていると、選択肢の幅が狭くなり、苦しくなってしまう」と語り、すごいPDCAをベースに自らチャレンジしていくことを提案した。
特にマーケティング業界は挑戦しがいのある分野だとし、「ぜひワクワクするマーケティングを実践して欲しい」とマーケターへのエールで講演を締めくくった。