出演者のSNS投稿がエンゲージメントの源
下図は「72時間ホンネテレビ」に関するSNS投稿アカウントのエンゲージメント数ランキングTOP20です。これを見ると、今回のように非常に高いエンゲージメント数を生み出すことができた要因は、元SMAPの稲垣吾郎氏、草なぎ剛氏、香取慎吾氏の3人をはじめとする番組主演タレントのSNS投稿が大きく影響していることがわかります。

ランキングには、元SMAPの3名に加えて、サイバーエージェントの藤田晋社長、お笑い芸人のカンニング竹山氏、元大阪市長の橋本徹氏、そして、国内で最も情報拡散力を持つインフルエンサーの一人であるヒカキン氏など、多種多様な顔ぶれが並びます。
これは、演者やそのファン、番組の作り手など、番組に関わる全ての人々が番組に好意を持ちながら皆で盛り上がったということの表れといえます。「出演者が盛り上がるのは当たり前ではないのか?」と思われるかもしれません。しかし、ここまで驚異的な数のエンゲージメントが発生し続けたことは、テレビでお馴染みのタレントを起用しつつも、SNSとの連携を軸とした双方向の番組を72時間ぶっ通しで緻密にやり遂げたことの結果に他なりません。
「視聴された数」だけではない新たな広告価値規準が求められる
しかし、こうした「エンゲージメント」のパフォーマンスが、「広告媒体」の価値として重視されているとはまだいえません。広告媒体の価値はいまだに視聴された数をもとに定められています。
視聴の定量を算出するロジックはテレビとネットで大きな隔たりがありますが、いずれも根本の価値を「視聴の数」においています。番組の間に挿入される「広告枠」を売り買いするモデルという点も含めて、広告媒体としてのビジネスモデルには大差がないともいえます。これは、AbemaTVに限った話ではなく、YouTubeやその他の多くのWeb動画メディアも同様です。
しかし、今回の「72時間ホンネテレビ」の成果からも、コンテンツのパフォーマンスが「視聴」だけで測れないのは明らかです。テレビがこれまで作ることのできなかった仕組みをネット発で構築するのだとすれば、コンテンツに対する「好意」を広告としての価値に変える、新たな広告モデルが求められるのだと強く感じています。
AbemaTVに代表される新しい形のメディアが次々と登場するなか、今後、広告そのもののあり方について議論が進み、広告価値規準の新たなスタンダードが形成されるだろうと確信しています。