2017年の市場規模は約150億円
このレコメンドウィジェットを通じて配信される広告の市場規模が成長を続けている(参考)。2016年には関連事業者の新規参入が相次いだことなどを受けて、市場は5倍程度に拡大、2017年も約2倍の成長を遂げた結果、約150億円の規模に迫っている。今後しばらくは安定した成長を続けていく見込みである。

今やいわゆる「プレミアムメディア」と呼ばれる媒体社の大多数は導入済みという状況だ。今後は一般企業が運営するオウンドメディア、消費者生成メディア(CGM)、紙媒体運営に注力してきた媒体社のWebサイトなどへの導入が進んでいくと想定される。
また徐々にブランド広告や動画広告なども扱うようになってきているため、広告単価も上昇していくと見込まれている。
レコメンドウィジェット広告の需要形態
では、このレコメンドウィジェットを活用しているのはどんな広告主なのか。需要形態つまりレコメンドウィジェットを通じて紹介される広告のリンク先に何があるのかという観点から整理してみた。下表が示す通り、主に5つに大別できる。

前述したように、今後注目すべき領域はオウンドメディア。今や一般企業が自社メディアを運営する時代となった。
2017年時点ではまだ試運転のような形で運営されているオウンドメディアも決して少なくないように見受けられるが、今後は然るべき予算を確保し、きちんと費用対効果を計測した上で本格的な運営へと舵を切る傾向が強まるだろう。
その際、記事の配信手段が限られている一般企業にとって、コンテンツマーケティングに最適とされるレコメンドウィジェットは大いに活用し得るツールとなるはずである。
ランディングページ(LP)は、現在主流となっている形態である。詳細については割愛するが、レコメンドウィジェットの利用に際しては「ユーザー体験を阻害すべきではない」というルールないしは思想を尊重するよう求められることが多い。
その結果、広告のリンク先には、ユーザーが読み物として楽しめるような内容のコンテンツを用意しておくべきであるとの認識が定着している感がある。つまり、商品の購入ページ(上表の「その他」に相当)などをリンク先に設定するのはNGとされる場合があるのだ。そこでオウンドメディアほど手間暇かけずに用意することができるランディングページが活用されている。
レコメンドウィジェットにおいてはユーザーが読み物として楽しむことができる記事型のコンテンツが重宝されるということで、媒体社が企画・制作する記事広告も主要な需要形態の一つとなる。
また記事広告ではなくても、たとえば新規メディアの立ち上げ時や独占スクープなどを広く喧伝したいときには、媒体社がレコメンドウィジェットを通じていわゆる純記事を配信することもある。
米国などではこの利用例が比較的多いようで、素性のよくわからない発信元が大手報道機関のWebサイトに設けられたレコメンドウィジェット枠を通じてコンテンツを配信できることから、フェイクニュースの温床になっていると指摘する声も出ている。
本調査結果の詳細は、デジタルインファクトが今年10月末に発刊した『レコメンドウィジェット広告の市場動向分析調査 2017』に掲載している。