デジタル上でのコミュニケーションは、企業のマーケティングやブランディングを明らかに変革し、速度と深度を増している。有園雄一氏が業界のキーパーソンや注目企業を訪ね、デジタルが可能にする近未来のマーケティングやブランディングについてディスカッションする本連載。今回は新春特別企画として、元Google副社長および日本法人代表の村上憲郎氏がゲストに登場。Google出身者の生産性を切り口にこれからの働き方について、同社の知られざる裏話をふんだんに交えながら前後編でお届けする。
社員のみなさまは“放し飼い”
電通総研カウンセル兼フェロー/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真右)
有園:今回は新春特別企画として、元Google日本法人代表であり、同時に米Google本社副社長を務められていた村上憲郎さんにご登場いただきました。私も村上さんがいらしたころにGoogleに勤めていたので、上司の上司にあたります。
村上:逆に有園さんは、僕のネット広告の師匠なんですよ(笑)。
有園:何をおっしゃいますか!!
村上:でもいつも社内はこんな感じだったよね、なにせ日本法人は10人で始めたからね。
有園:(笑)。先日村上さんが電通総研のカウンセル兼フェローに就任されるニュースが流れましたね。そのタイミングもあって今回改めてお話をしたかったのは、日米を問わず今Google出身者がFacebookしかり、Twitterしかりと各所で活躍していますよね。なぜこうした状況が起きているのか、内部にいた私もわからないところがあって。村上さんに、その生産性の秘訣を聞きたいと思いまして。
村上:うん、僕のモットーは“放し飼い”でした。
有園:放し飼い(笑)。
村上:会社では社長、社員と役割は違うけど、人格としてはまったく平等なわけで、同じミッション・ステートメントの下に、社員のみなさまはやりたいようにやればいいし、意見も言いたいように言えばいい。実は、これが社長としても、いちばんラクなのよ。
でもある意味、究極のブラック企業ですよ。時間で管理されていないから残業代もないし、オフィスで朝昼晩の食事や飲み物・果物を無料で提供しているのも、ごはんを用意するから外に出ないで存分に仕事してね、という。
トップが直接話す機会を設ける
有園:確かに………。米Googleの本社だと、確か広大なキャンパス内にレストランが10店くらいあって、シャワーやジムもあったと思います。
村上:そう、クリーニング屋やコインランドリーもあるし、医者や歯医者、大きいソファーもあるから仮眠徹夜。それから、オフィスに子供やペットを連れてくるのも自由です。
プログラミングって物書きだから、書き始めたら途中でやめられないんですよ。アルゴリズムにも起承転結があるから。だからレストランにすら行かなくて済むように、オフィスのあちこちに果物やチョコレートの類、自販機なんかもたくさんあった。もちろんすべて無料です。
有園:そういう職場環境は、生産性のひとつの大きな要因ですね。
村上:プールもあったね。これは、サーゲイ(※創業者の一人、サーゲイ・ブリン)が作ったんですよ。TGIFで「サーゲイ、プール作るって言ったじゃない!」と言われて(笑)。
TGIF っていうのは、アメリカには週末を迎えることを感謝した“Thank God, It’s Friday”という慣用句があるんだけど、それになぞらえて金曜4時から毎週、飲み会をしていたんですよね。で、サーゲイとラリー(※もう一人の創業者、ラリー・ペイジ)が直接参加して、皆の質問に答えていた。
有園:大きな会社になると、社長と話したことがないという社員も増えてきたりしますが、TGIFのようにできるだけ直接コミュニケーションを取ろうという工夫はありましたね.東京でもTGIF、やっていましたし。
村上:今週の新入社員! といって紹介したりね。東京は米国本社より1日前に金曜日になるので、前の週のTGIFでのラリー、サーゲイと社員とのやり取りの録画を観ながら飲み食いしてましたよね。
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高島 知子(タカシマ トモコ)
フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。
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