文脈化とグローバリゼーションのポイントが明らかに
3つ目の要素である「文脈化」、これはどういうことなのだろうか。これに関しブライアン氏は「相手が興味を持つ情報にパーソナライズしていく」こととした。
「相手の名前を呼び、相手が何を売りたいか、何を買いたいかといったことを理解した上で最適なメッセージを配信していくことが重要です」(ブライアン氏)
そして、文脈化が徹底されている事例としてe-bayの事例が紹介された。同社のメールでは、顧客の行動に基づき、顧客が望む製品を常にリアルタイムで提案するレコメンドメールを実現している。
最後のグローバリゼーションに関して同氏は、「多言語対応以外にも、各国の法令に違反しないよう、対応していくことが重要」とした。さらに様々なISPの違いに関しても知っておく重要性を唱え、次に登壇したSendGridにてメール配信に関するコンサルタントを務めるSeth Charles(セス・チャールズ)氏にバトンタッチした。
日本特有のISPに求められる対応
最初にセス氏は、SendGridの現状について話した。
「SendGridは1ヵ月に約370億ものメールを送信しています。ISPのシェアを見ると、最も多いのはGmail。その次にYahoo!、マイクロソフト、その他と続いています。私たちは各社と緊密なパートナーシップを組んでいます」(セス氏)
同氏は続けて、日本でのメールの受信環境にフォーカスを当てたデータを紹介していった。まず、明らかになったのはデバイス別の利用状況で、モバイルが58.51%、デスクトップが41.49%。またモバイルの過去30日間のデータでは、68%はiPhone上で見られており、16%はandroid上で見られていた。
次に日本のISPについての調査結果を明らかにした。日本ではYahoo! JAPANやドコモ、au、ソフトバンクへの送信がやはり多い。そしてメールの到達率をもとに、各ISPにおける特徴をセス氏は語った。
「ドコモは他のISPと比べてバウンス、ブロック率が高いという結果になりました。要因としては、ファイルサイズの容量オーバーやHTMLの構文エラーが多いので、それらの点には気を配りましょう。ソフトバンクに関しては、98.2%という高い到達率である一方、開封率が0.5%と非常に低かったため、何らかのフィルタリングが働いている可能性が考えられます」(セス氏)
同氏は到達率を高める工夫として、夜間のメール送信は避ける、各ISPのサーバー状況を鑑みて送信するタイミングを決めるといったことを提案した。
メールの到達率を上げるために確認したい3つのポイント
これらのデータをもとに、セス氏は講演の中である言葉を強調していた。それは「闇雲にメールを送り続けない」ということだ。
「海外企業の中には、今後もメールを送り続けていいかどうかを確認するメールを送っているものもあります。メールを送る母数は減ってしまうかもしれませんが、嫌がられるメールを送り続けるよりは、ブランドイメージを保つことができますし、エンゲージメントもそこまで下がらないというデータも出ています」(セス氏)
最後に、同氏はメールの到達率を上げるために確認しておくべきポイントを3つ挙げた。1つ目は、接点の開拓。具体的にはどのようにしてメールアドレスを収集するかといった点が挙げられる。
2つ目は、関係の構築。受信者はどういったメール受信設定をしているのか、その中でどう関係を築き、コンバージョンへと導くのかといったことを考えなければならない。
3つ目は、関係の終結だ。先述したように、闇雲にメールを送るのはデメリットが大きい。そのため、送信者は開封率やメール到達率をもとに、送信リストを整理するのも非常に重要なのだ。
「メールの到達率が悪いのは、この3つのどれかに問題があるからです。当然、複雑に絡み合っているので、一朝一夕で良くなるものではありませんが、1つずつ問題を潰していくことが重要です」(セス氏)