ブランド認知にも求められる新たな指標
今は高度経済成長期のような人口や需要が急激に増えている時代ではありません。だからこそ「求めている人に対して訴求する」というマーケティングの本質に、もう一度立ち返ることが必要だと思います。
また、広告配信の大きな目的のひとつである「生活者のブランド認知を拡大すること」に対しては、潜在層を掘り起こすことでユーザーの裾野を広げるような施策も必要となります。
TVCMの市場規模にデジタルが追いつこうとしているなかで、TVCMのGRP(延べ視聴率)のような接触や認知などの概念を可視化した新しい指標をデジタル広告でも作り出して取り入れることができれば、マーケターが経営層へCPA以外のKPIを示すことができるようになります。
それには、現状で主な指標とされているインプレッションだけでなく、ビューアビリティや来店計測などデジタルならではの指標をさらに進化させ、その過程で生まれる新たなKPIが必要となるでしょう。
フルファネルに対応する“人”ベースのマーケティング設計
先ほども述べた通り、生活者との親和性が高い広告を配信するためには、まずは対象となるユーザーがどのような人なのかを理解しなくてはなりません。
従来では、同じ人がA社の商品をブラウザで認知して、そのあとにアプリから購買したとしても、データ上ではPCウェブとスマホアプリというデバイスごとに個々のID(=人)として認識されるため、同一人物が複数デバイスを使用している場合でも別の人として捉えざるを得ませんでした。
これからのDMPでは、そうした異なるデバイスのデータを1人の人として横断して統合できるようになるデータ基盤が必要になります。
2017年11月に電通と発表した、マーケティングにおけるさまざまな手法を「人」ベースに統合して高度化するフレームワーク「People Driven Marketing」において、SupershipはDMP基盤をOEM提供しています。
このフレームワークでは、従来のようなcookieなどによるオーディエンスデータに加えて、アプリでの行動データ、購買データ、位置情報データ、テレビの実視聴ログデータなどをつなぎ合わせて統合したOneID化を実施し、人ベースの分析の実現を目指しています。
このような取り組みによって、マーケターはフルファネルで想像ではなく明示的に、さらにアドベリフィケーションの観点から見てもボットが存在しない、よりリアルで無駄のないマーケティング活動を行うことができるようになります。
現在広告代理店に求められていることとは
このように広告業界やマーケティングを取り巻く環境が変化する中、最近では、経営コンサルティングを主軸とするプレイヤーが企業にとって重点課題となっているマーケティング領域へ支援を拡大したり、事業会社側でもインハウスモデルで自社データを主軸としたマーケティングに注力したりと、徐々にマーケティングを取り巻くプレイヤー構成図も変わってきています。
こうした流れのなかで、アドテクノロジー・データテクノロジーを提供し広告代理事業も行っている弊社としては、独自のプロダクトやデータを駆使した根拠のあるマーケティング提案が、以前に比べてより広告主から求められていると実感しています。
従来型の広告運用・発注の代理を中心としたエージェンシー機能だけではないところで、デジタル広告代理店の価値が量られているのです。
それは個人に置き換えても同じことで、広告主サイドのビジネスを本当に理解してデータ活用を熟知した提案ができる人材へのニーズは今後もますます高まると思います。