データ分析のできるマーケターがより重要性を増す
広告主側の人材も同様で、とくに、日本の大手企業では、スペシャリストの育成よりもジェネラリストの育成を重視した人材配置によってマーケターが3年から4年でマーケティング部署から異動してしまうケースが多いため、マーケティングを極めている人がまだまだ少ないのが現状です。
しかし、極端なことをいえば、マーケティングの理論は理解していても自身でデータ分析をできないマーケターは、今後必要とされなくなる可能性すらあると思います。ただ、こうした状況は、危機感として確実に変化の波を起こしてきています。
実際に広告主側のTVCM担当者から「動画広告などのデジタル施策も合わせて提案してほしい」「クリエイティブの根拠となるデータは?」といった要望が増えており、TVCMの提案であっても、あらかじめデジタル上での分析を行ったデータをもとにプランニングすることが主流になっています。これはもはや「TVCMだけ」「デジタルだけ」と分断した人材配置やプランニングは最適とはいえず、この波は今後数年にわたってより顕著になると感じています。
マーケターは顧客ではなくファンを創っていくべき
当社では、DSPやSSP、最近ではPMPなどといったアドテクノロジーの最新ソリューションを自社で開発・提供しているだけでなく、それらのソリューション展開をデータプラットフォームを軸に行っています。
こうしたフルパッケージでのプロダクトを拡充している理由は、「デジタル広告業界において続いてきたカオスマップの時代は終わりに向かっている」と考えているからです。
複数のベンダーや代理店から提案を受けて、複数のソリューションを契約し活用する。このような場合、広告主側のマーケターはエージェンシーとのやり取りだけで多くの工数を割くことになります。しかし、それよりも、自社のブランディングや施策設計などのマーケティング活動の上流に時間を割いたほうが、当然より顧客と向き合うことができ、顧客を超えたファンを一人でも多く創ることができます。
また、弊社では昨今業界の課題として浮き彫りになりつつあるアドベリフィケーションへの取り組みのため、昨年7月に当社と同じSyn.グループの一員となったアドベリフィケーションツールの開発・提供を行っているMomentum(モメンタム)との連携も進めています。
モメンタムが電通などとともに参加している「アドベリフィケーション推進協議会」が2018年1月に発表した調査レポートによると、国内のアドフラウド、ブランドセーフティ、ビューアビリティの状況を海外主要諸国と客観的に比較した結果、日本においても主要各国と同様、もしくはそれ以上にアドベリフィケーションへの取り組みが急務であることがわかりました。

これに立ち向かうには広告主だけでなく、アドプラットフォームを提供するベンダーや広告運用を行う代理店、そして、広告枠を提供している媒体社側も含め、広告業界全体で問題を把握し、それぞれの立場で対策を行い、手を取り合いながら透明化を図っていく必要があると考えています。
当社はベンダーという立場から広告主に質の高い広告配信をご提供できるよう、DSP・PMPの広告配信ソリューションにおいては、米国の認定団体であるTAGの国際基準をクリアしたモメンタムのブランドセーフティとアドフラウド対策のツールをデフォルトで適用しています。
さらに、今後は、当社が提供するすべてのソリューションにおいてアドベリフィケーションツールの適用を進めていくことで、デジタル広告の透明化と健全化をテクノロジーで解決していきます。これにより、広告主が安心して出稿ができ、パブリッシャー側にはさらにユーザビリティと収益性を両立していくことができる業界構造を目指していきます。
広告主のマーケターの方々には、適正なアドベリフィケーションツールを活用しながら、アドフラウドで発生している無益な投資を削減していく一方、ブランドセーフティに配慮しながら自社のブランディング活動として価値ある広告投資を行っていただくことで、広告業界はさらに未来へ向かって飛躍していくと考えています。