種類によって異なるユーザー属性
ここからは、電子マネーの種類ごとに、ユーザー属性の特徴などについて見ていきたいと思う。交通系電子マネーの利用者※1は、男性の割合が女性よりも10ポイント高く、男性30~60代で全体の45%を占める。また、交通系電子マネー利用者の職業は、およそ6割がビジネスパーソンで、通勤で使う交通系電子マネーを買い物でも利用していることが予想される。一方、支払い系電子マネー利用者は男女の割合が同水準。また、利用者の32%は専業主婦(主夫)やパート・アルバイト。こちらもビジネスパーソンに多く利用されているが、主婦(主夫)やパート・アルバイトの利用者も多いのが特徴と言える。
利用実態や利用金額
電子マネーが利用される時間帯を確認する。交通系電子マネー、支払い系電子マネーともに、朝から夜まで幅広い時間帯で使用されているが、支払い系電子マネーは昼と夕方~夜によく利用されている。利用頻度はどちらも週3回程度で、交通系電子マネーは男性の頻度が高いことが特徴的だ。
利用金額については、交通系電子マネーの「1回あたりの最高金額」が1,000円※2、「1ヵ月あたりの平均金額」が2,000円※2、支払い系電子マネーの「1回あたりの最高金額」※2が2,000円、「1ヵ月あたりの平均金額」が3,000円※2と支払い系電子マネーのほうが高い。
利用場所は、どちらの電子マネーもコンビニエンスストアが最も高く、ユーザーの60~70%が利用している。しかし、交通系電子マネーは2番目に「自動販売機」が43%と高いが、支払い系電子マネーは「スーパーマーケット」が51%と2番目に高い。支払い系電子マネーは、利用場所がコンビニだけではなく、スーパーでも高いことから、利用単価が交通系電子マネーよりも高いのだろう。また利用範囲がさらに広がる電子マネーではあるが、インターネットショッピングでの支払いは、交通系電子マネーで5%程度、支払い系電子マネーで10%程度と低い水準だった(図表3)。

電子マネー利用拡大のカギは?
では、なぜ多くの人が電子マネーを利用しているのだろうか、いまだに利用していない人はなぜ利用しないのだろうか。電子マネーの種類別に確認した。
電子マネーユーザーが電子マネーを利用する理由は、交通系電子マネーでは「レジでの支払いが早く済むから」52%、「現金を持たなくて済むから」47%、「現金で支払う必要がないから」44%と、“利便性”を理由に利用されている。また、支払い系電子マネーは「ポイントがたまるから」が68%で突出して高く、“お得感”といった理由で使われている。特に女性ユーザーの73%は「ポイントがたまるから」と回答しており、男性よりも11ポイントも高かった(図表4)。

また、電子マネーを使わない人の理由は、「現金で不便を感じていないから」「普段の生活で電子マネーを使う場面がないから」という回答が多く、電子マネーにあまり必要性を感じていないことがわかる。さらに、「利用できる場所が限られているから」という回答も多く、“利用したいが使えない”という人も一定数存在しているようだ。特に60代においてこの傾向が見られ、こういったニーズの声に耳を傾けることもユーザー数の増加につながるのかもしれない(図表5)。

最後に、店舗や施設ごとに、電子マネーで支払いたいと思う場所を確認した。トップ3は、「交通機関」58%、「コンビニ」57%、「自動販売機」53%で、いずれも既に電子マネーでの支払いが導入されている場所だった。特徴的だったのは50~60代で、「家電量販店」「動物園・水族館」「美術館」「病院」で電子マネーを使いたいと、それぞれ4割以上が回答している。また、若年層だけではなく年齢の高い層でも、今後世の中はキャッシュレスになるだろうと考えている結果も明らかになった。
総じて、電子マネーは消費者の生活に広く浸透したことが垣間見えた。いまだ電子マネーでの支払いができない場所や施設に電子マネーが導入されることで、さらなる市場の拡大が見込めるのかもしれない。そして、広がりが予想される電子マネーだからこそ、生活者の行動や利用実態を改めて分析し、施策を検討していく必要があるだろう。
※1 定期券としてのみ利用している人は除く
※2 1ヵ月の平均金額は、中央値で表示
・全国18~69歳の男女1,000人を、性別×年代(10~20代、30代、40代、50代、60代)の人口構成比に合わせて回収。
・本文の数値は四捨五入した整数で表記。
・百分率表示は四捨五入の丸め計算を行っており、合計が100%とならない場合がある。
▼調査レポート
『生活者に選ばれている電子マネーとは?利用実態を調査』(HoNote)